長谷有洋

長谷有洋：夭折した若きスターの生涯

長谷有洋（はせありひろ）は、1965年4月22日生まれ、1996年7月30日没の日本の声優、俳優です。数々のアニメやドラマに出演し、特に人気アニメ『超時空要塞マクロス』の主人公・一条輝役で広く知られています。31歳という若さで急逝した彼の生涯は、多くのファンに惜しまれ、今も語り継がれています。

俳優への道：子役から人気声優へ

俳優である父親・はせさん治の影響を受け、長谷は幼い頃から芸能界に興味を持っていました。中学3年生から劇団こまどりに入団し、子役としてホームドラマでデビュー。その後はプロダクション・エムスリー、シグマクラブに所属しながら、着実に経験を積んでいきます。

高校2年生の頃、声優オーディションを受け、見事『キャプテン』のキャッチャー小山役に抜擢されます。さらに続く『超時空要塞マクロス』では、主人公の一条輝役を射止めました。自身と同じ17歳という設定の輝役は、長谷の等身大の演技と相まって大成功を収め、彼の代表作となりました。

日本大学芸術学部放送学科を卒業後も、声優・俳優として活動を続けます。初期は仕事が少なく苦しい時期もあったようですが、1990年代に入ると実力も向上し、徐々に仕事が増えていきました。NHKラジオ第2の『ことばの教室』には5年間レギュラー出演するなど、安定した活躍を見せていました。そして、亡くなる直前には連続ドラマのレギュラー出演も決まっていたと伝えられています。

突然の死とその後

1996年7月30日午前4時頃、長谷は実家のマンション7階から転落死しているのが弟によって発見されました。31歳という若さでした。事故死と報じられていますが、詳しい死因は不明のままです。父親のはせさん治は、彼の死を「突然、命を絶ってしまった」と悲痛に語っています。彼の墓石には「一条輝役 長谷有洋」と刻まれ、彼が演じた役柄が今も彼の存在を物語っています。

多彩な才能と人物像

長谷は、俳優としての才能だけでなく、多彩な特技を持っていました。タップダンスや水泳が得意で、幼い頃から手品が好きだったというエピソードも残っています。自宅近所の立教大学のマジック研究会に出入りし、カードやコインマジックを習得していたそうです。演技の道に進む前、家族は彼がマジシャンになるものと思っていたと言われています。

また、小学校高学年時代は放送委員会、中学時代はブラスバンド部で打楽器を担当するなど、表現力豊かな子供時代を過ごしていました。趣味は映画鑑賞と映画パンフレットの収集で、散歩がてら見知らぬ駅で降り、古本屋でパンフレットを探すのが好きだったそうです。

『超時空要塞マクロス』のオーディションでは、当初は派遣された5人の中に選ばれていませんでしたが、他の参加者の都合により、繰り上げでオーディションを受けることになり、見事合格しました。オーディション会場で長谷を見たキャラクターデザイン担当の美樹本晴彦氏は、「あ、輝が来た！」と驚いたと伝えられています。アフレコスタジオには、高校帰りに学生服姿で通っていたそうです。

多岐にわたる出演作品

長谷有洋は、数多くのアニメ、ドラマ、映画、ラジオ番組などに幅広く出演しました。代表作である『超時空要塞マクロス』以外にも、『超時空世紀オーガス』『機動警察パトレイバー』『楽しいムーミン一家』『らんま1/2|らんま1_2』『マクロス7』など、人気アニメ作品に多数出演しています。また、NHKのドラマや東映不思議コメディーシリーズなどにも出演し、声優としての活動以外でも存在感を示していました。

彼の名は永遠に

長谷有洋は、短い生涯ながらも、多くの作品で人々の心に深く刻まれる演技を見せてくれました。特に『超時空要塞マクロス』の一条輝役は、多くのファンにとって忘れられない存在であり続けています。彼の死後、彼の持ち役を引き継いだ声優もいますが、長谷有洋の輝きは、永遠に人々の記憶の中に生き続けるでしょう。彼の才能と魅力が惜しまれるとともに、彼の作品はこれからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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