劉一焜

劉一焜（りゅう いっこうん）

劉一焜（生没年不詳）は、明代の官僚であり、字は元丙、号は石閭と称しました。南昌府南昌県の出身で、劉曰材を父に持ち、弟には劉一煜と劉一燝がいました。

生涯

劉一焜は、父・劉曰材が陝西左布政使を務めていた家庭に生まれました。1588年（万暦16年）に郷試に合格し、その才能を早くから示しました。1592年（万暦20年）には進士に及第し、官僚としての道を歩み始めます。最初は行人に任じられ、その後、吏部考功郎中へと昇進しました。

吏部考功郎中時代には、吏部侍郎の楊時喬を補佐し、京官の考査を担当しました。この際、行政の私物化を徹底的に排除し、公正な人事制度の確立に尽力しました。その後、吏部文選郎中に転じ、1606年（万暦34年）には太常寺少卿に任命されました。しかし、彼は喪に服すために一度官を辞します。

1614年（万暦42年）、劉一焜は右僉都御史に抜擢され、浙江巡撫として復帰しました。浙江巡撫時代には、万暦帝が中官の曹奉を派遣して普陀山に鎮海寺を建立しようとした際、浙江巡按の李邦華とともにこれに反対しました。しかし、この反対は受け入れられませんでした。

また、織造中官の劉成が死去した後、劉一焜は後任の宦官を派遣しないよう何度も上疏しました。しかし、中官の呂貴が劉成の残した衣装を保全するように命じられると、宦官たちは呂貴に織造を監督させるよう請願しました。これに対して、劉一焜は李邦華と共に再び反対しましたが、万暦帝は呂貴を織造中官に任命しました。彼はその後も上疏を重ねて争いましたが、万暦帝からの返答はありませんでした。呂貴が着任すると、多くの侵奪や混乱を引き起こし、これに対し劉一焜は上疏して呂貴を非難し、彼の部下の権限を剥奪しました。

浙江巡撫として、劉一焜は民利を図るための事業も推進しました。杭州の龕山に1200丈の防潮堤を築き、余杭の南湖を浚渫する事業を興しました。これらの事業は、地域住民の生活を大きく改善するものでした。さらに、陽明学を虎林で講義し、外州の小邑に学田を増やすことで、教育の普及にも貢献しました。

しかし、御史の沈珣によって不正に財産を隠匿していると誣告され、劉一焜は自ら官を退いて去りました。彼の死後、その功績を称えられ、工部右侍郎の位が追贈されました。

劉一焜の著書には『石閭山房集』があり、彼の思想や活動を後世に伝えています。

参考文献

『明史』巻240 列伝第128
『江西通志』巻69

これらの資料から、劉一焜が明代の官僚として、不正を排除し、民のために尽力した人物であったことがわかります。彼の生涯は、官僚としての模範を示すものであり、後世に大きな影響を与えました。

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