劉培森

劉培森の建築家としての軌跡

人物背景

劉培森（リゥ・ペイセン）は1956年11月に台北市で誕生しました。彼は台湾電視公司の元総経理である父、劉侃如のもと、ソウルで生まれました。幼少期には台北に移り住み、台北市内の小学校と香港の中学・高校で学びました。18歳で日本の上智大学に入学しますが、1年でフランスへ渡ることを決意しました。この決断の背景には、異文化の中での自身の気づきがあったと語っています。

フランスでは、語学学校を経てパリ・ベルヴィル建築国立学校に入学し、ボザール様式を学びました。その後、米国のマサチューセッツ工科大学で建築学の修士課程を修了し、台湾でも少数の欧米両方の建築課程を修了した建築家となります。1986年に台湾に戻ると、宗邁建築師事務所に勤務しながら中原大学で教育にも携わりました。1991年には独立し、「劉培森建築師事務所」を設立します。

設計経歴と理念

劉培森が台湾で最初に手がけたプロジェクトは、長庚医院でした。ここで彼は医療機関特有の建築用語や空間使用について学び、この経験は後に大規模公共施設の設計にも役立っています。国内外の多くの建築家や事務所と協業しており、異なる専門分野の技術を吸収しつつ、設計に反映させています。

彼は国際的な協業を通じて新たな設計スタイルを模索しており、特に映画と建築の共通点について言及しています。建築と映画産業の両方が異なるチームによる協力で成り立つことから、彼は、映画監督アン・リーのスタイルを指摘し、華人が外国のプロジェクトを指揮する重要性を強調しています。高雄市立図書館の総館では、日本の竹中工務店、フランス、イギリスのチームと共同でプロジェクトを進め、新たな天井構造を生み出しました。

主な受賞歴

劉培森はそのデザインと設計により、様々な賞を受賞しています。2008年には内政部から傑出建築師奨を受賞し、2016年には国土建設特別貢献奨を受けました。また、彼のプロジェクトである台中新市政中心や高雄市立図書館等も多くの受賞歴があります。これにより、劉の設計がどれほど高く評価されているかがわかります。

家庭と社会的影響

劉は1989年に台湾プラスチックグループの創業者の三女と結婚し、一男一女をもうけましたが、2004年に離婚しています。このため、劉は建築師としての業績以上に、王永慶一族としての話題の方が大きく取り上げられることもあります。彼は独立後に王永慶の一族と近い距離で仕事をすることとなり、影響を受けながらも、彼自身の設計哲学とスタイルを貫いています。

主な代表作

彼の代表作には、台北市の国立編訳館や交通部運輸研究所、台中市議会大楼、台中新市政中心などがあります。また、共同プロジェクトとして高雄国家体育場や台中市政府大楼、台湾客家文化館も手がけています。劉は、未完成の施設を持ちながらも、建築家としてのキャリアと視野を広げ続けています。彼の作品は台湾の都市景観の一部として、今後も注目されていくことでしょう。

このように、劉培森は台湾建築界の重要な人物として、独自の視点と多様な経験を基にした設計活動を展開しています。今後の活躍にも期待が寄せられています。

もう一度検索