劉源

劉源（りゅう げん、1951年4月生まれ）は、中華人民共和国解放軍の上将であり、その背景には政治的な名門としての特異な人生があります。彼の父は、元中華人民共和国主席の劉少奇であり、母は王光美です。劉源は1951年に北京市で生まれ、故郷は湖南省にあります。文化大革命が始まった際に、彼は中学校に在学中でしたが、父親の逮捕によって彼自身も運命を共にすることとなります。

文化大革命により、家族が受けた影響は深刻で、学校では羞恥を受ける日々が続きました。上山下郷運動が始まると、彼はその運動に参加することを決意しましたが、山西省での生活も決して平穏ではありませんでした。常に批判の対象となり、ある時、彼は自らの命を懸けて叫びました。「そんなに俺が憎いなら、今この場で殺せ!だが、その前に俺は死に物狂いで戦ってやる。」その言葉は、彼の抗う気持ちを象徴しています。

農村での厳しい環境を目の当たりにし、独自の決意を固めた劉源は、地元の支持を得て県長の職に就くことができました。下放運動が終わった後、北京師範学院の歴史学部に進学し、1980年には人民代表大会に立候補しましたが、難しい政治情勢の中で落選する結果となりました。

その後、地方政府の代理人としてのキャリアを積み、徐々に武装警察や軍に転身していきます。彼の異色の経歴は、1982年に中国共産党に入党し、河南省の副県長や副省長を経て、1992年には武装警察部隊で政治委員に就任することに結びつきました。1998年からは武装警察部隊の副政治委員としての地位を確立し、2003年には中国人民解放軍に転任します。

この時期、彼は急速に昇進を果たし、2009年には上将に昇進します。また、彼は粛清に厳しい姿勢を示す一方で、反腐敗闘争の主導的な役割を果たし、特に徐才厚や郭伯雄といった著名な軍幹部の失脚に寄与しました。

劉源は、中国共産党第17期と18期の中央委員としても活躍し、2015年には軍を退役しました。彼のこれまでの政治的活動は、多くの支持者と同時に批判も生んでいます。特に、政治的背景を持つ太子党の有力者の一人として、習近平との親密な関係や反米姿勢に注目が集まっています。彼の人物像は、近年の中国における腐敗問題に対する彼の態度とも密接に絡み合っており、その真意は未だに謎に包まれています。

もう一度検索