劉鋹

劉鋹（りゅう ちょう）の生涯

劉鋹は、十国時代の南漢において、最後の皇帝である後主として知られています。彼の本名は継興で、父は第3代皇帝の中宗・劉晟です。劉鋹は958年に父が崩御すると、皇帝の座に即位しました。

支配者としての特徴

劉鋹は非常に高い猜疑心を持っており、周囲の讒言を鵜呑みにしがちでした。その結果、彼は数多くの優れた将軍や文官たちを粛清し、代わりに宦官を多く登用しました。彼の治世下では、南漢の重要な役職は宦官によって占められることが一般的となり、この状況は国政に深刻な悪影響を与えることとなります。

劉鋹は、国家にとって必要な人材であった文官や仏教・道教の学者たちをまず去勢してから採用するほどの宦官信奉者だったと言われています。特に、重用された宦官としては龔澄枢、陳延寿、李托などが名を馳せています。さらに、進士試験で首席合格した者が自ら去勢されるという異常な慣行さえも存在しました。

国家の衰退と滅亡

このような状況が続く中、民心は次第に離反していきました。そして971年、大宝14年に宋の太祖・趙匡胤が南漢に侵攻すると、劉鋹はわずかに抵抗しただけで財宝を持ち出して逃亡を試みました。しかし、信任していた宦官がその財宝を持ち逃げしてしまい、劉鋹は宋の捕虜となります。これによって南漢は滅亡し、その領土は宋に併呑されました。劉鋹をはじめとする皇族は開封に移され、王侯として遇されました。

宋での生活と死

宋に降ってからしばらく経った頃、劉鋹は太祖から酒を賜りました。かつて毒酒で臣下を殺した過去を持つ彼は、太祖が自分を毒殺しようとしているのではないかと恐れ、涙を流しました。太祖は彼の疑念を笑って受け流し、自らその杯を飲み干しました。これにより劉鋹は深い恥を感じたといいます。

開宝8年には左監門衛上将軍・彭城郡公に封じられ、太平興国元年に太宗が即位すると衛国公に昇進しました。最終的に彼は980年に39歳で亡くなり、死後には南越王に追封されました。

家族について

劉鋹の父は中宗・劉晟であり、彼自身には数人の息子がいました。息子たちの名前には劉守節、劉守正、劉守素、劉守通が含まれます。彼の家族もまた南漢の歴史において重要な一角を成す存在となりました。

以上が劉鋹の生涯の概要です。彼の治世は宦官政治の影響と、それに伴う国の衰退がどのように重なっていたのかを理解する上で重要な事例です。

もう一度検索