太平興国

太平興国（たいへいこうこく）は、宋の第2代皇帝、太宗趙炅（ちょうけい）の治世で使用された最初の年号です。976年12月22日に開宝から改元され、984年11月21日に雍熙（ようき）へと改元されるまでの期間を指します。

太平興国年間の主な出来事

太平興国元年（976年）: 開宝から太平興国へ改元。
太平興国2年（977年）: 黄河が氾濫し、大規模な水害が発生。
太平興国3年（978年）: 泉州の陳洪進（ちんこうしん）が領土を宋に献上。呉越も宋に帰順し、江南の安定化が進む。
太平興国4年（979年）: 太宗が北漢討伐のため親征し、北漢を平定。これにより、五代十国時代が終焉を迎え、宋による中国統一が達成される。統一後、太宗は遼への侵攻を開始するも、高梁河の戦い（こうりょうがのたたかい）で遼軍に大敗。太宗自身も負傷し、辛くも退却。
太平興国5年（980年）: 差役法（さえきほう）が施行。これは、農民の負担を軽減し、税収を安定させることを目的とした制度。遼軍が宋に侵入し、瓦橋関（がきょうかん）で宋軍を破る。
太平興国6年（981年）: 交趾（コーチ、現在のベトナム北部）に出兵した宋軍が、黎桓（レ・ホアン）率いる軍に白藤江の戦い（はくとうこうのたたかい）で敗北。南方への勢力拡大は阻まれる。
太平興国7年（982年）: 夏州の李継捧（りけいほう）が宋に帰順。西北方面の安定化が進む。
太平興国8年（983年）: 李継捧の族弟である李継遷（りけいせん）が宋に反逆。西北方面の安定に暗雲が立ち込める。
太平興国9年（984年）: 日本の僧、奝然（ちょうねん）が太宗に謁見。日宋間の交流が始まる。11月21日、雍熙に改元。

太平興国年間の意義

太平興国年間は、宋朝が五代十国時代の混乱を収束させ、中国を統一した重要な時期でした。しかし、その後の対遼政策の失敗や、南方への進出の頓挫など、課題も多く残されました。この時代の出来事は、その後の宋朝の歴史に大きな影響を与えることになります。

また、この時代には『太平御覧』（たいへいぎょらん）という類書が編纂されました。これは、太宗の命により編纂されたもので、広範な知識を集積し、皇帝の知識欲を満たすとともに、政治の参考とすることを目的としたものです。

元号一覧

前の元号: 開宝（かいほう）
* 次の元号: 雍熙（ようき）

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