力餅食堂

力餅食堂（ちからもちしょくどう）

概要

力餅食堂は、近畿地方や中国地方に約100店舗を展開している、長い歴史を持つ大衆食堂です。「ちから餅」という名前の店舗を持つことも特徴です。
この食堂は昭和の時代から続く伝統的なスタイルを保っており、シンボルマークとして杵を交差させたロゴを採用しています。1928年頃に創業者の弟が考案したこのロゴと、おはぎや赤飯の店頭販売がこの食堂の大きな特徴です。

また、力餅食堂は独自ののれん分け制度を採用しており、これにより京阪神地域全体に店舗が広がっています。全店で共通するのは屋号とロゴマークのみで、メニューや味、価格設定は各店舗の独自判断に任せられています。これにより、各地区の特色やニーズに応じた多彩なメニューが展開され、多くの人々に愛される存在となっています。特に関西の下町においては欠かせない存在であり、1988年には彼らの組合の100周年を祝し、大阪、京都、兵庫の知事から祝辞が寄せられました。

歴史

力餅食堂の起源は1889年（明治22年）にさかのぼります。兵庫県豊岡市で饅頭店として創業した池口力造が始めたのがその始まりです。しかし、事業は一度経営困難に直面し、1895年（明治28年）には「勝利饅頭」として再開しましたが、再び厳しい状況に。そうした折、出入りの酒屋の協力を得て、1903年からは「力餅」として本格再開業。あんころ餅を中心にメニューを広げ、徐々に食堂としての姿を確立していきました。

店舗展開

力餅食堂の店舗展開においては「のれん分け制度」というユニークなモデルが採用されています。この制度では、8年以上の勤務を経て信頼を得た従業員が独立することができ、店舗開設の際には組合が支援を行います。開店時には、親方や周囲の店舗の方々が応援に駆けつけ、祝福を受けることが多いです。この制度が1914年に始まり、当初より多くの店舗が開店してきました。特に、組合結成時の1937年には、69店舗の力餅食堂が存在し、1941年には京都や大阪、神戸、広島に78店舗まで成長しました。しかし、戦後は物資不足により多くの店が閉店し、深刻な時期を迎えました。終戦時にはわずか20店舗へと減少しましたが、経済成長に伴い再び店舗が増加し、最盛期には180店舗に達しました。

現在の状況

今日、力餅食堂は経営環境の厳しさに直面しています。客数の減少や店主の高齢化、そして後継者不足といった問題から、近年廃業する店舗が続出しています。新規出店もここ10年以上ない状況です。これを打破するために、組合はラジオCMや新メニュー開発、短期修業制度などを考案し、各店舗はセットメニューの導入や夜の居酒屋営業といった試みを行っています。

かつて存在した店舗としては、淡路店（2009年閉店）、相川力餅食堂（2020年閉店）、西郷通店（2022年閉店）などがあります。こうした様々な試みを通じて力餅食堂は今後も伝統を守り続け、地域の人々に愛される存在であり続ける事を目指しています。

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