加古 (稲美町)

加古 (稲美町)

加古（かこ）は、兵庫県加古郡稲美町に属する大字です。郵便番号は675-1105となります。稲美町の北西部に位置しており、加古川市とも隣接しています。その面積は約6.40平方キロメートルに及び、これは稲美町全体の約18パーセントを占める広大な地域です。本稿では、現在の加古地区に加え、1955年（昭和30年）までこの地に存在した自治体「加古村」についても記述します。

地理

加古地域が位置するのは、「印南台地」と呼ばれる洪積台地の上です。この台地は、明石川や志染川といった河川の源流に近い雄岡山・雌岡山といった古生層山地を起点とし、加古川の河岸や播磨灘方面へと扇状に広がっています。地域全体としては、西部を流れる曇川（くもりがわ）に向かって緩やかに傾斜している地形が特徴です。また、加古地域には兵庫県内で最も面積の広い溜池として知られる加古大池があり、夏には「いなみ大池まつり」が開催され、多くの人々で賑わいます。

歴史

この地の開拓は、中西条村（現在の加古川市八幡町中西条）の庄屋であった加古沢兵衛によって発案されたと伝えられています。その経緯は『加古新村由来記』に詳しく記されています。加古沢兵衛はまず、この地が農耕に適しているかを見極めるため、3年間にわたり米や麦、大豆などの栽培を試みました。作物の収量が良好であったため、次に定住が可能かを調査するため、さらに3年間、夏冬を通して居住し、環境を評価しました。その結果を受け、1660年（万治3年）に姫路藩から開発の許可が下り、上西条村（現在の加古川市八幡町上西条）の喜平次、下村（現在の加古川市八幡町下村）の治兵衛と共に開拓が開始されました。この開拓によって誕生した新しい村は、開祖である加古沢兵衛の名にちなみ、「加古新村」と名付けられました。

近代に入り、1889年（明治22年）4月1日には町村制の施行により、加古新村は単独で村制を敷きました。その後、1947年（昭和22年）10月1日には村名を「加古村」と改称しました。そして、1955年（昭和30年）3月31日、加古郡の天満村、母里村と合併し、現在の稲美町の一部となり、加古村はその歴史を終えました。

年表

加古および旧加古村に関わる主な出来事を以下に示します。

1660年（万治3年）：加古沢兵衛らによる加古新村の開発が始まる。
1882年（明治15年）：現在の稲美町立加古小学校の前身である組合立鳴が丘小学校が創立される。
1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、加古新村が単独で村制を敷く。
1947年（昭和22年）4月22日：加古村を含む周辺村との組合で、兵庫県加古郡学校組合立山手中学校が創立される。
1948年（昭和23年）10月1日：加古新村から加古村に改称する。
1949年（昭和24年）：加古大池が完成する。
1955年（昭和30年）3月31日：天満村、母里村と合併し、稲美町の一部となる。
1977年（昭和52年）4月1日：稲美町立稲美中学校の開校に伴い、中学校区が変更される。
1985年（昭和60年）4月6日：稲美町立稲美北中学校が開校し、再び中学校区が変更される。

交通

地域内に鉄道駅はありませんが、路線バス（神姫バス）が運行しており、公共交通を担っています。主な道路としては、兵庫県道65号神戸加古川姫路線、兵庫県道84号宗佐土山線、兵庫県道148号大久保稲美加古川線が通っています。

公共施設・名所など

加古地区には、地域住民の生活を支える様々な公共施設や教育機関、そして歴史ある神社や自然を楽しめる公園があります。

教育施設: 稲美町立加古幼稚園、稲美町立加古小学校、稲美町立稲美北中学校、加古保育園
公共施設: 加古福祉会館
公園: 加古大池公園、加古農村公園、鳴ヶ岡スポーツ公園
* 神社: 加古八幡神社（1680年造営、秋祭りが行われる）、鳴ヶ岡稲荷神社（朱色の鳥居が並ぶ）、祇園神社

その他、神戸鉄工中小企業協同組合や日本マタイ兵庫工場といった企業も所在しています。

まとめ

加古は、印南台地の豊かな自然の中で、加古沢兵衛による開拓という unique な歴史を経て形成された地域です。かつては独立した村として歩み、現在は稲美町の一部として、加古大池をはじめとする自然景観や、地域に根差した教育・公共施設、神社などを有し、歴史と現代が共存する地域となっています。

もう一度検索