加治木俊道

加治木俊道：証券行政と電力事業を牽引した大蔵官僚

加治木俊道（かじき としみち）は、1916年に生まれ、2003年に生涯を閉じた日本の官僚、実業家です。大蔵省（現財務省）において証券行政の中枢を担い、退官後は関西電力の経営に参画しました。その生涯は、日本の経済と社会の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

大蔵省でのキャリア

1941年に東京商科大学（現一橋大学）を卒業後、大蔵省に入省。為替局に配属され、同期には後に財務官や東京銀行頭取となる柏木雄介らがいました。戦時中は大日本帝国陸軍の司政官を務め、戦後は大蔵省で金融制度調査や税関業務、中小金融など多岐にわたる業務に携わりました。

特に、証券行政においては、証券部長や証券局長を歴任し、日本証券保有組合の設立、公社債市場の再開、投資信託委託会社の証券会社からの完全分離、バイカイ規制、証券業の免許制への移行など、数々の重要な政策を推進しました。1964年には、株価下落に対応するため、日本共同証券の設立を主導。1965年には、経営危機に陥った山一證券に対し、日銀特融を行うにあたり、大蔵大臣の了承を得て、関係各所との調整に尽力しました。

山一證券への日銀特融の際には、当初は銀行団主導での経営再建を目指しましたが、報道協定が破られたことで、取り付け騒ぎが発生。結果として、日銀特融による混乱の収拾へと舵を切ることとなりました。

関西電力でのキャリア

大蔵省退官後は、関西電力に移り、専務や副社長を歴任しました。同社では、官僚出身者は社長になれないという不文律があり、社長の補佐役に徹しました。立地環境本部長や電気事業連合会立地推進連絡会議委員長として、電源立地の推進に貢献しました。

人物像

加治木俊道は、端正な顔立ちで、絵を描くことも得意でした。その多才ぶりは、官僚としての能力だけでなく、人間的な魅力も兼ね備えていたことを示しています。

略歴

1916年：鹿児島県に生まれる。
1941年：旧制東京商科大学（現一橋大学）卒業、大蔵省入省。
1963年：大蔵省理財局証券部長。
1964年：大蔵省大臣官房財務調査官。
1966年：大蔵省証券局長。
1967年：関西電力顧問。
1975年：同社専務取締役。
1978年 - 1983年：関西電力副社長。
1991年 - 1998年：関西電力相談役。
2003年：肺炎のため死去。

まとめ

加治木俊道は、大蔵官僚として証券行政の発展に大きく貢献し、その後の関西電力では経営の中枢を担いました。その生涯は、日本の経済と社会の発展に大きく寄与したと言えるでしょう。

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