加藤七宝製作所

加藤七宝製作所：尾張七宝の伝統を未来へ繋ぐ

加藤七宝製作所は、1947年（昭和22年）に創業した、愛知県名古屋市に拠点を置く尾張七宝の窯元です。名古屋城にほど近い西区香呑町に工房を構え、伝統的な尾張七宝の技法を守りながら、現代のライフスタイルに合わせた新しい七宝焼の可能性を追求しています。創業者の加藤亮三氏から数えて三代に渡り、尾張七宝の美しさを世に送り出し続けています。

創業の精神と技術

創業者である加藤亮三氏は、戦後の混乱期に尾張七宝の魅力に惹きつけられ、その製造を自身の生業とすることを決意しました。数年間、現在のあま市である愛知県七宝町で尾張七宝製作の基礎を学んだ後、1947年に名古屋市西区に工房を設立しました。

加藤七宝製作所は、特に透明釉薬（透け釉薬）を用いた製品づくりに定評があります。ルビーのような深みのある赤色が特徴の『赤透け』釉薬や、図柄の輪郭に銀線を施す尾張七宝の代表的な技法である『有線七宝』などを得意とし、多様な尾張七宝の製品を製作しています。これらの技術を駆使し、伝統を守りながらも、常に新しい表現を追求する姿勢が、加藤七宝製作所の製品に息づいています。

伝統工芸士の技

二代目の加藤勝己氏と三代目の加藤芳朗氏は、ともに伝産法の規定に基づく伝統工芸士として認定されています。伝統工芸士は、長年の経験と卓越した技術を持つ職人に与えられる称号であり、その技術は国の文化財として保護されています。加藤七宝製作所では、伝統工芸士の指導のもと、職人たちが日々技術を磨き、高品質な七宝焼を作り続けています。

歴史と革新

加藤七宝製作所は、創業以来、数々の実績を積み重ねてきました。1989年には東京都新宿区・東長寺の天井画を制作し、2000年にはN社迎賓ホールの七宝大柱を制作するなど、その技術力は高く評価されています。また、1995年には『尾張七宝』が通商産業大臣指定伝統的工芸品（現・経済産業大臣指定伝統的工芸品）に指定され、その価値が広く認められました。

近年では、伝統的な技術を活かしつつ、現代のニーズに合わせた新しい製品開発にも積極的に取り組んでいます。2013年には、七宝製のミニ骨壷『まとう』（メモリアルアートの大野屋）や七宝製手洗器（カクダイ）を商品化し、2019年にはネイルアート素材の『七宝フレーク』（藍rish）を商品化するなど、新たな分野への挑戦を続けています。また、省胎七宝といった新しい技法も積極的に取り入れています。

メディアへの露出

加藤七宝製作所は、メディアにも多数取り上げられています。2015年にはNHK BSプレミアム『美の壺』に出演し、スイスのハリリ・コレクションを鑑賞する様子が放送されました。また、書籍や雑誌などでも紹介され、その活動が広く知られています。

未来への展望

加藤七宝製作所は、尾張七宝の伝統を守りながらも、常に新しい挑戦を続けています。三代目の加藤芳朗氏は、尾張七宝の未来を見据え、若い世代にもその魅力を伝えていくための活動にも力を入れています。伝統と革新を融合させながら、尾張七宝の新たな可能性を切り開いていくことが期待されています。

加藤七宝製作所の製品は、公式ウェブサイトやオンラインショップで購入することができます。また、工房に併設されたショールームでは、実際に製品を手に取って見ることができます。尾張七宝の美しさを体験しに、ぜひ一度訪れてみてください。

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