加藤俊夫

加藤俊夫：強肩強打の捕手、波瀾万丈の野球人生

加藤俊夫氏は、1948年1月20日、宮城県仙台市宮城野区生まれの元プロ野球選手（捕手）です。高校時代は仙台育英高校で活躍し、強肩強打の捕手として注目を集めました。1965年のドラフト会議では大洋ホエールズから2位指名を受けましたが、入団を拒否。その後、日本軽金属を経て、1966年のドラフト1位でサンケイアトムズに入団しました。

プロ入り後は、サンケイ（後にヤクルトアトムズへ球団名変更）でプレイ。1967年4月12日、広島戦で初出場を果たしました。正捕手として活躍し、持ち前の強打でチームに貢献しました。1968年には初本塁打を記録するなど、着実に実績を積みました。しかし、1970年には自動車の無免許運転で逮捕され、球団から無期限出場停止処分を受け、シーズン終了後に解雇されてしまいます。

解雇後、地元仙台に戻り家業を営んでいましたが、セ・リーグ事務局からの手紙をきっかけに、プロ野球への未練を断ち切れず、球界復帰を目指します。セ・リーグ会長である鈴木龍二氏からの温かい勧誘と、故大川博オーナーの遺志を受け継いだ東映フライヤーズの田沢八十彦代表の尽力により、1972年に東映フライヤーズへ入団。球団とは月10万円という低額契約でしたが、加藤氏は野球への強い情熱でこのチャンスを掴みました。

東映フライヤーズ（後に日拓ホームフライヤーズ、日本ハムファイターズと球団名が変更）では、正捕手の座を争いながら、1973年にはオールスターゲームにも出場。1977年には規定打席に到達し、打率.270、ベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞を受賞するなど、パリーグを代表する捕手として活躍しました。1978年には1000試合出場を達成。1980年には100本塁打を達成、4度目のオールスター出場を果たしました。しかし、1980年代に入ると肩の衰えが目立ち始め、出場機会が減少していきました。

1981年、肘の故障が悪化。二塁への送球がほとんど不可能になるなど、厳しい状況が続きました。それでもロッテとのプレーオフでは代打として適時打を放つ活躍を見せました。1982年、横浜大洋ホエールズに移籍。ベテラン捕手3人体制の一角として活躍しましたが、1985年7月3日の阪神戦でアキレス腱断裂の大怪我を負い、現役を引退することとなりました。

引退後は地元仙台に帰郷。スナック「ツーナイン」のマスターを務めながら、東北放送「TBCダイナミックナイター」の解説者、少年野球チーム監督、プロ野球マスターズリーグ・札幌アンビシャスの主戦捕手としても活躍しました。解説者としては、捕手出身ならではの視点で、多くの野球ファンを魅了しました。札幌アンビシャスでは、全試合マスクを被るほどチームに貢献したエピソードも残っています。

加藤俊夫氏の野球人生は、華々しい活躍だけでなく、挫折や困難を乗り越えていく過程も非常に印象的です。ドラフト拒否から始まり、無免許運転による処分、そして球界復帰と、常に挑戦を続ける姿は、多くの人々に感動を与え続けています。強肩強打の捕手としてだけでなく、解説者や指導者としても活躍した氏の野球人生は、後世に語り継がれるべき貴重なものです。

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