加藤和宏 (NAR)

加藤和宏：地方競馬史に名を刻んだ騎手・調教師の軌跡

群馬県で生まれ育った加藤和宏氏は、父が調教師であった環境から自然と競馬の世界へ足を踏み入れました。兄も騎手であったことから、その道を志すのは必然的な流れだったと言えるでしょう。1970年、高崎競馬場で鮮烈なデビューを飾り、初騎乗初勝利という快挙を成し遂げます。しかし、その後は思うように勝ち星を重ねることができず、苦悩の時期を経験します。

しかし、加藤氏はそこから這い上がります。馬との一体感を深め、「馬を誘導する」という独自の騎乗スタイルを確立。持ち前の冷静さと技術で、数々の困難を克服し、勝利を掴み取っていきます。スタートが得意ではなかった彼は、先輩騎手に包まれたり、前を塞がれたりしても、慌てず冷静に外へ出ていく戦法で勝負を挑みました。

1987年からは、カツノコバンという名馬と共に全国各地の交流競走に参戦。中央競馬の強豪たちと渡り合い、その実力を全国に知らしめました。特に1988年には、大井競馬場で行われた帝王賞で11番人気ながら6着入線。中央競馬の重賞レースであるオールカマーでも健闘するなど、地方競馬の代表として活躍しました。

また、地方競馬のクラシックレースである三才優駿では、アーテイシヤーク、レツドセイリユウ、カツノイットーといった名馬を駆り、3連覇という偉業を達成。さらにビクトリーシーザーとのコンビで、同レース4勝目を挙げ、地方競馬史にその名を刻みました。ビクトリーシーザーとのコンビでは、高崎皐月賞、高崎ダービーも制覇。群馬記念では地元最先着を果たすなど、地元群馬での活躍も目覚ましく、地元ファンを熱狂させました。

高崎大賞典でも、グランドツアラー、ケイシュウトライ、リキアイフルパワーなど、数々の名馬に騎乗し、計6勝を挙げました。1999年には中央競馬の重賞レースである日経賞にも挑戦。セイウンスカイやステイゴールドといった強豪馬相手に6着と健闘し、その実力を改めて証明しました。

2000年に騎手を引退した後も、調教師として第二の人生を歩み始めます。高崎競馬場、その後は金沢競馬場で厩舎を開業し、多くの優秀な競走馬を育成。2006年には通算100勝、2020年には500勝を達成。2023年には念願の金沢リーディングトレーナーを獲得しました。2024年には通算900勝を達成するなど、調教師としても輝かしい成功を収めました。

加藤和宏氏の騎手、調教師としての通算成績は、16000戦2910勝、勝率18.2％、連対率33.1％という驚異的な数字を誇ります。その功績は、地方競馬の歴史に大きな足跡を残しました。彼の名前は、長く競馬ファンの記憶に刻まれることでしょう。数々の名馬と共に歩み、地方競馬を盛り上げた加藤和宏氏の生き様は、後世に語り継がれるべき、まさに伝説と言えるでしょう。

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