加藤定彦

加藤定彦：俳諧研究の泰斗

加藤定彦氏は、1947年2月、愛知県名古屋市に生まれました。名古屋市立向陽高等学校在学中には、既に俳諧への関心を示し、橋本鶏二氏の主宰する俳句結社『年輪』に所属していました。この頃から、俳諧の世界への深い関与が始まっていたと言えるでしょう。

早稲田大学第一文学部卒業後、加藤氏は中村俊定氏に師事し、その薫陶を受けました。その後、二松學舍大学大学院文学研究科日本文学専攻修士課程を修了。大学院修了後は、立教大学一般教育部専任講師として教壇に立ち、助教授、教授へと昇進。1995年には文学部日本文学科教授に就任し、長年にわたって後進の指導にあたりました。2012年には立教大学を定年退職し、名誉教授となりました。

加藤氏の研究活動は多岐に渡り、その業績は高く評価されています。1981年には日本古典文学会賞、1998年には芭蕉翁顕彰会文部大臣奨励賞を受賞。さらに2009年には『関東俳諧叢書』により文部科学大臣賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝いています。これらの受賞歴は、加藤氏の研究の深さと重要性を如実に示しています。

その研究テーマは、近世俳諧を中心とした日本古典文学に及んでいます。古典籍の校訂や研究を通して、近世俳諧の文化史的な位置づけや、俳諧における庶民文化の役割、そして俳諧における様々な表現技法を深く探究してきました。

加藤氏の著作は、その専門性の高さ、そして分かりやすさで知られています。『風呂で読む一茶』では、一茶の俳句を現代的な視点から解説し、親しみやすい語り口で俳句の魅力を伝えています。『俳諧の近世史』、『関東俳壇史叢稿 庶民文芸のネットワーク』など、近世俳諧史を多角的に論じた著作は、研究者のみならず、俳諧に関心を持つ全ての人々にとって貴重な資料となっています。

また、加藤氏は多くの書籍の編纂や校注にも携わっています。代表的なものとして、『関東俳諧叢書』全32巻の編纂があります。これは、近世関東地方の俳諧を網羅した大規模な叢書で、加藤氏の長年の研究成果が結実したものです。他にも、『新日本古典文学大系 69 初期俳諧集』、『新編日本古典文学全集 61 俳諧集』など、数多くの古典籍の校注を通して、日本の古典文学の研究に大きく貢献しています。

加藤定彦氏の研究は、近世俳諧研究に新たな地平を開き、その業績は日本の古典文学研究に大きな影響を与え続けています。その学問的貢献は、高く評価され、今後も日本の俳諧研究において、重要な役割を果たしていくことでしょう。

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