加賀福岡駅

加賀福岡駅

概要

石川県能美市福岡町（かつて能美郡根上町福岡に属していました）に存在した加賀福岡駅は、北陸鉄道が運営していた能美線に設置されていた鉄道駅でしたが、現在は廃止されています。この駅は、能美線の全線廃止という運命を共にし、その営業を終えました。

歴史

加賀福岡駅の歴史は、1925年（大正14年）8月13日に幕を開けました。駅は能美電気鉄道によって開業し、当初から地域交通の一翼を担っていました。開業からわずか2ヶ月後の同年10月には、貨物を取り扱うための専用側線が設けられ、旅客だけでなく貨物輸送においても重要な役割を果たすようになります。

駅施設にも改良が加えられています。1938年（昭和13年）10月27日の届け出に基づき、線路を挟んで南側に位置していた貨物の積み下ろし場や貨車専用のホームが、駅舎のある北側へと移設されました。この改良工事と同時に、それまで木製であったホームの擁壁も、より堅牢なコンクリート製に改修されています。

運営会社の変遷も経ており、1939年（昭和14年）8月1日には、路線が金沢電気軌道に引き継がれたことに伴い、同社の駅となりました。

時代の変化とともに、駅の機能も簡素化されていきます。1960年（昭和35年）5月19日には、かつて設置された貨物側線が撤去され、駅の構造は1つの線路に1つのホームが接する形（1面1線）に戻されました。また、この日をもって駅員配置が廃止され、無人駅となっています。

そして、1980年（昭和55年）9月14日、北陸鉄道能美線全線の廃止に伴い、加賀福岡駅はその長い歴史に終止符を打ち、廃駅となりました。

駅構造

地上駅として設けられていた加賀福岡駅は、その歴史の中で構造が変化しています。晩年は、簡素な1面1線のホームを持つ形態となり、駅舎はなく、利用者のための木造の簡易的な待合室が設置されているのみでした。ホームは線路の北側に沿って配置されていました。

しかし、駅が最も賑わっていた頃は、その様相は大きく異なりました。駅員が常駐しており、特に駅周辺が織物産業で栄えていた時代には、近隣の機業場へ通勤する多くの工員たちが当駅を利用しており、活気に満ちた雰囲気でした。貨物側線が存在した時期には、地元の産業を支える貨物輸送の拠点としても機能していたと考えられます。

現状

加賀福岡駅が廃止されてからかなりの歳月が流れ、現在では駅の建物や線路は全て撤去されており、かつての駅があった場所だと判別するのは難しい状況です。しかし、かつてこの場所に駅が存在したという歴史的な事実を示すため、現在では駅跡を示す看板が設置されており、通行人や訪問者に往時を偲ばせる存在となっています。

隣接駅（廃止時点）

北陸鉄道能美線
中ノ庄駅 - 加賀福岡駅 - 新寺井駅

もう一度検索