労働安全衛生

労働安全衛生について

労働安全衛生（ろうどうあんぜんえいせい）、英語ではoccupational safety and health（OSH）は、就業環境における安全性と健康、および豊かさを確保することを目指す分野です。この分野では、働く人々の身体的な安全のみならず、精神的健康の問題にも目を向ける必要があります。すなわち、より良い就労環境の構築が求められます。

労働災害の種類

労働安全衛生の重要な目的の一つは、労働災害の発生を防止することです。労働災害には、主に以下のような種類があります。
1. 物理的・機械的な災害
2. 生物・化学的な災害
- バイオハザード（バクテリア、ウイルス、菌類、血液媒介病原体、結核）
- ケミカルハザード
3. 心理社会的な災害

特に、OECD各国では、雇用者が従業員の身体的健康だけでなく、精神的健康を守る責任があるとされています。心理的・精神的なリスクファクターに対する管理は、事業リスクの一環として重要になっています。職場におけるストレスや暴力、そしてその他の心理的健康問題は、グローバルな課題として広く知られています。

精神的リスクの影響

EU-OSHAが行った調査によれば、深刻な精神的リスク要因としては、雇用契約の不安定性、グローバル化による雇用不安、労働の高齢化、長時間労働、仕事に対する不安感、感情労働の高度化などが挙げられています。これらの要因は、様々な業種において問題作り出す原動力となり得ます。

医療従事者のリスク

特に医療分野では、医療従事者はバイオハザードや長時間労働、肉体的ストレス、そして新型の感染症に直面しています。米国労働省によると、2011年には病院で253,700件の労働災害が発生しており、この数値はフルタイムの労働者100人あたりにおいて6.8件に相当します。これは、他の業種、特に建設業や製造業よりも高い発生率です。

労働災害の監視と対策

米国のOccupational Health Safety Network（OHSN）は、医療従事者の健康と安全に関する監査データを集約し、リスクの分析を行います。このプラットフォームは、医療機関が労働災害のデータを安全にアップロードし、その情報が匿名で分析される仕組みになっています。OHSNでは、身体的外傷、滑走・転倒・転落、職場の暴力といった主要なリスクに特化した研究と対策が進められています。

国による規制の違い

欧州諸国では、労働安全衛生管理者が以下のような責務を負っています：

• - 労働環境の系統的評価
• - 疾病防止に向けた指針の作成および情報提供
• - 従業員向けの健康相談

日本においても、常勤者には健康診断の義務があり、特定の業種では安全管理者や衛生管理者の選定が求められています。これらの取り組みは、労働者が安全かつ健康的に働ける環境を整えるために不可欠です。

まとめ

労働安全衛生は、働く人々の安全や健康を守るための重要な分野であり、身体的および心理的なリスクを管理する必要があります。これにより、労働環境をより健全に保ち、従業員の幸福度を向上させることが求められています。

もう一度検索