労働者の闘争

労働者の闘争（Lutte Ouvrière）：フランス極左政党の軌跡

労働者の闘争（略称LO）は、フランスにおけるトロツキスト政党です。フランス政界では「極左政党」に分類されますが、これはフランス社会党やフランス共産党といった既存の左翼政党より左派的な立場をとる勢力が「極左」とみなされるためです。LOは国際共産主義者連盟（UCI）のフランス支部であり、UCI最大の組織でもあります。現在、ナタリー・アルトーが党首を務めています。

歴史：小さなサークルからフランス極左の勢力へ

LOの起源は、1939年にフランスで活動を開始した、ルーマニア出身のトロツキスト、デービッド・ケルナーが率いる小さなサークルに遡ります。このサークルは1947年のルノーにおけるストライキに積極的に関与しましたが、その後の活動低迷を経て1952年に崩壊します。その後、ロベール・バルシアやピエール・ボイスらによって再建され、『労働者の声』を経て、1968年の五月革命後の当局による解散命令を受け、『労働者の闘争』と改称されました。

LOは設立以来、「革命的労働者党」の形成を目指し、労働組合内部での活動や大衆運動よりも、独自の宣伝活動を通じて支持者獲得に注力してきました。また、選挙活動にも積極的に取り組み、フランス共産党に代わる左翼政党を目指しています。

近年の活動：大統領選挑戦と独自の政治姿勢

LOは、アルレット・ラギエを擁して大統領選に5回（1974、1981、1988、1995、2002年）挑戦しました。特に1995年と2002年には、フランス共産党の候補を上回る得票率を獲得し、注目を集めました。2002年の大統領選では、決選投票で国民戦線のルペン候補とシラク候補が対決した際、LOは両候補を右翼と位置付け、「投票ボイコット」を呼びかけました。これは、反ルペン投票を呼びかけた他の左翼政党とは対照的な姿勢でした。

2007年の大統領選では、ラギエが高齢を理由に引退を表明し、後継者としてナタリー・アルトーが擁立されましたが、得票率は低迷しました。2012年の大統領選でもアルトーが出馬しましたが、得票率は伸び悩みました。

LOは、大統領選において「プロレタリア独裁」を公約に掲げ、一貫して独自の政治路線を歩んできました。これは、既存の左翼政党とは異なる、より急進的な立場を示すものです。

国際共産主義者連盟：国際的なネットワーク

LOは国際共産主義者連盟（UCI）を形成しており、フランスの海外県や旧宗主国を中心に活動しています。しかし、フランス以外の地域では、規模は限定的なものにとどまっています。UCIの支部は、カリブ諸島、アフリカ、ハイチ、イギリス、トルコ、スペインなど、様々な地域に存在しています。

まとめ：フランス極左の孤高の闘い

労働者の闘争は、フランス政界における独自の立場を堅持し、一貫して革命的労働者党の形成を目指し続けています。大統領選挙への繰り返し挑戦や、既存の左翼政党とは異なる独自の政治路線は、フランスの政治風景に独特のアクセントを加えています。LOの活動は、フランスの政治状況や、国際的なトロツキズムの流れを理解する上で、重要な視点となるでしょう。

もう一度検索