効果線

効果線は、漫画における表現技法の一つであり、画面に様々な効果を付与するために用いられる描線です。主に、キャラクターの感情、雰囲気、動きなどを強調し、読者に視覚的に伝える役割を果たします。効果線は、漫画家によって多様な種類と用法が存在し、作品の個性を際立たせる要素ともなっています。

主な効果線の種類

カケアミ: 網目模様を重ねて表現する効果線です。網目の密度を調整することで、グラデーションのような効果を生み出すことができ、陰影や奥行きを表現する際に用いられます。

ナワナワ: グルグル、ボルテックスとも呼ばれる効果線です。フリーハンドで平行線を引き、わずかに角度を変化させることで、渦巻状の模様を描き出します。カケアミと同様に、線の密度を変えることでグラデーション効果も表現可能です。主に、混乱や酩酊状態、あるいはエネルギーの奔流などを表現する際に用いられます。

おどろ: ナワナワの応用として用いられる効果線で、異様な雰囲気や恐怖感を強調する際に使用されます。ナワナワよりもさらに複雑で不規則な線を描き、不安や緊張感を煽る効果があります。

たれ線: 背景やキャラクターの顔に、垂れ下がるように描かれる縦線です。主に、キャラクターの落ち込んだ様子や疲労感、あるいは雨や汗などを表現する際に用いられます。

点描: 美術技法における点描と同様に、点を密集させて描くことで、質感や陰影を表現する効果線です。漫画においては、通常インク一色で描かれ、主線の代わりに用いられることもあります。柔らかい印象や、繊細な感情を表現するのに適しています。

スピード線: 車や人物などの動きを表現するために用いられる効果線です。流線とも呼ばれます。進行方向に向かって線を放射状に描くことで、速度感や勢いを強調します。背景に用いることで、ダイナミックなアクションシーンを演出することができます。

集中線: 画面の一点に向かって、周囲から放射状に線を描く効果線です。動き、驚き、あるいは視線の集中などを表現する際に用いられます。特に、キャラクターが衝撃を受けた瞬間や、必殺技を繰り出すシーンなどで効果的に用いられます。

効果線の種類や表現方法は、漫画家によって様々であり、上記の例はほんの一部です。効果線を効果的に用いることで、漫画の表現力は格段に向上し、読者の感情を揺さぶるような作品を生み出すことができます。

参考文献

鈴木光明『少女まんがの描き方専科』 白泉社、1981年
『サンデーまんがカレッジ』 小学館、1982年

関連項目

ベタ (漫画)
* 漫符

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