ベタ (漫画)

漫画における「ベタ」とは

漫画制作における「ベタ」とは、原稿内の特定の範囲を黒色で塗りつぶす作業のことです。この技法は「ベタ塗り」とも呼ばれ、単に黒く塗るだけでなく、漫画表現において重要な役割を果たします。

ベタの役割

• - 色の表現: 実際に黒色で表現されるべき部分や、影となる部分を表現します。
• - 心理描写: キャラクターの心理状態や、場面の雰囲気を強調する効果があります。例えば、不安や恐怖といった感情を表現する際に、効果的に用いられます。
• - 空間表現: 背景をベタで塗りつぶすことで、時間や空間の特殊な状態を表現することができます。

ベタの道具

ベタ塗りに使用する道具は、基本的には黒色のインクを使用できるものであれば何でも構いません。具体的には、筆、インク、サインペン、筆ペン、ミリペンなどが挙げられます。ただし、修正液（ホワイト）との相性を考慮し、一般的には水性顔料のインクが用いられることが多いです。

ベタ塗りの分業

商業漫画の制作現場では、効率化のために分業体制が採られることが多くあります。この場合、メインの漫画家は線画のみを担当し、ベタ塗り、トーン貼り、背景などの作業はアシスタントに任せることが一般的です。アシスタントへの指示として、ベタ塗りを行う箇所に×印などのマークが付けられることがあります。

ベタの応用技法

ベタには、いくつかの応用技法があります。

• - ベタフラ（ベタフラッシュの略）: スピード感や衝撃を表現するために、ベタ塗りを勢いよく行う技法です。
• - ツヤベタ: 筆や筆ペンの筆跡を生かし、光が当たっている部分を塗り残すことで、髪の毛などのツヤを表現する技法です。
• - 全面ベタ: コマ内の人物や物体以外の空間を全てベタで塗りつぶす技法です。これによって、時間が止まったような感覚や、心理的に周囲と断絶した状態を表現できます。

関連用語

• - 漫符: 漫画で使用される記号。
• - 効果線: 漫画のコマ内で、動きや感情を表現するために描かれる線。
• - スクリーントーン: 漫画の表現に用いられる、模様や濃淡が印刷されたシート。
• - 漫画: 日本発祥の絵と文字で構成される表現形式。
• - 日本の[[漫画]]: 日本独自の文化として発展した漫画。

ベタは、漫画表現において非常に重要な技法であり、様々な表現を可能にします。漫画を読む際には、ベタがどのように使われているかに注目してみると、より深く作品を理解することができるでしょう。

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