動乱 (映画)

映画『動乱』について

『動乱』は1980年1月19日に公開された作品で、製作は東映とシナノ企画によるものです。本作は第1部「海峡を渡る愛」と第2部「雪降り止まず」の2部構成から成っており、高倉健と吉永小百合の初共演ということで大きな注目を集めました。作品はビスタサイズで、映倫番号は19659です。

概要

この映画は昭和の歴史的な事件である五・一五事件から二・二六事件の間を背景に描かれています。寡黙な青年将校宮城啓介と彼の妻の生き方と愛を中心に、厳しい時代の中での人間模様を描写しています。シナリオは山田信夫が手掛け、監督は森谷司郎、撮影は仲沢半次郎が担当しました。

あらすじ

第一部

物語は若い将校宮城啓介が部下の溝口英雄の脱走を追うところから始まります。啓介は英雄の家庭を訪れ、彼の姉である薫が過酷な運命にあることを知ります。彼は英雄の行方を探し、悲劇的な銃声を目撃します。その後、英雄は銃殺刑となり、啓介は朝鮮国境警備の任務を遂行することに。ある晩、兵士宿舎に現れた薫を見つけ、彼女を引き取ります。日本製の武器が匪賊に使われていることを発見した啓介は、軍に対する不信感を募らせ悪化する状況に直面します。

第二部

舞台が日本に戻り、啓介と薫は共に生活を始めます。啓介は軍の腐敗に対する青年将校たちの不満を耳にしながら、薫を旅行に誘いますが、彼女は過去の関係者との再会に悩むことになります。薫は皇道派の将校の妻と過ごし、自身が抱える汚れた過去について啓介に訴えます。一方、啓介は次第に決起に向かう決意を固めていきます。

スタッフとキャスト

キャストには高倉健が宮城啓介役、吉永小百合が溝口薫役として出演。企画の中心には、当時フリーのプロデューサーだった岡田裕介がいて、彼の考案による作品です。当時高倉は多くのオファーを受けており、吉永との共演を望んで本作への出演を決心しました。

主題歌

主題歌は小椋佳が担当し、その旋律とともに映画の感情が強調されています。

製作と評価

本作は5億3000万円という巨額の製作費が投じられ、1980年の配給収入ベストテンにランクインしました。一方、作品はその内容から多くの批判も受けました。特に歴史を歪めて描く意図があるとして、右傾化の始まりとして名指しされたこともあります。また高倉健と吉永小百合が演じる古き良き日本の男女像は、その後の映画製作に影響を与えました。

結論

『動乱』はただの戦争映画ではなく、愛と社会の葛藤を扱った深い作品であり、今なお多くの議論を呼ぶ重要な作品として位置づけられています。映画を通じて、観客に強い印象を残し、歴史的背景と共に多くのことを考えさせられる作品となっています。

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