動燃東海事業所火災爆発事故

動燃東海事業所火災爆発事故

1997年3月11日、茨城県那珂郡東海村に所在する旧動力炉・核燃料開発事業団（動燃、現在の日本原子力研究開発機構）東海再処理施設において、原子力事故が発生しました。この事故は、国際原子力事象評価尺度でレベル3と評価されています。

事故の概要

事故が発生したのは、動燃東海事業所再処理工場内のアスファルト固化処理施設です。この施設は、地上4階、地下2階の鉄筋コンクリート造りの建物で、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを抽出する再処理工程で発生する低レベル放射性廃液を処理し、アスファルトで固化して減容化する役割を担っていました。

1997年3月11日午前10時6分頃、アスファルト固化体が充填されたドラム缶数本の温度が異常に上昇し、火災が発生しました。この火災により、固化体に含まれていた放射性物質が建物内や隣接する建物内に拡散。一部の排気筒モニタや室内ダストモニタの指示値が上昇し、警報が発報されたため、作業員は緊急退避しました。火災発生後、換気系統に不具合が発生し、施設内の換気ができなくなるという状況に陥りました。

同日午後8時頃には、同じ施設内で爆発が発生。建物の窓や扉などが破損し、放射性物質が環境中に放出されました。事故発生当時、敷地内のモニタリングポストの一箇所で、同日午後8時40分頃から空間放射線量率がわずかに上昇しましたが、午後9時以降には通常の変動範囲内に戻りました。

事故当時、建物内にいた作業員129名のうち、37名の体内から微量の放射性物質が検出されました。この事故を受け、科学技術庁（現在の文部科学省）は、国際原子力事象評価尺度に基づき、事故をレベル3（重大な異常事象）と評価し、国際原子力機関（IAEA）に報告しました。

事故後の対応

事故後、原因究明と再発防止のため、徹底的な調査が行われました。また、被災した施設の復旧や周辺環境の放射線モニタリングなども実施されました。この事故は、原子力施設の安全対策の重要性を改めて認識させる出来事となりました。

脚注

科学技術庁原子力安全局「動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故の原因調査状況について」＜参考資料＞1997年5月8日
茨城県議会議員井手よしひろ 動燃東海再処理工場爆発事故アーカイブ

外部リンク

科学技術庁原子力安全局「動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故の原因調査状況について」＜参考資料＞1997年5月8日
茨城県議会議員井手よしひろ 動燃東海再処理工場爆発事故アーカイブ

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