動物の倫理的扱いを求める人々の会

PETA（動物の倫理的扱いを求める人々の会）とは

動物の倫理的扱いを求める人々の会（People for the Ethical Treatment of Animals、略称：PETA、読み方：ピータ）は、動物の権利を擁護するアメリカ発祥の国際的な団体です。1980年に設立され、動物が人間によって不当に扱われることのない世界を目指し、活動を行っています。PETAのスローガンは「動物は、食べ物、衣類、実験、娯楽、いかなる虐待のためにも存在しているわけではない」であり、この理念に基づき、動物の搾取に反対する活動を幅広く展開しています。

世界中に900万人の会員と支持者を擁し、ポール・マッカートニー、ライアン・ゴズリング、ホアキン・フェニックスなどの著名人もPETAの活動を支持しています。2023年の運営予算は7500万ドルに達し、科学者、弁護士、政策専門家を含む500人の常勤職員が活動を支えています。PETAは、動物の権利を社会的な議論の一部にする上で、大きな役割を果たしてきたと評価されています。

PETAの設立と初期の活動

PETAは1980年3月、イングリッド・ニューカークとアレックス・パチェコによって設立されました。ニューカークは、動物保護施設での劣悪な環境に衝撃を受け、動物保護活動に身を投じました。パチェコは、動物の権利に関する書籍『動物の解放』に感銘を受け、ニューカークと共にPETAの創設に尽力しました。当初は少人数のグループでしたが、1981年に起こった「シルバースプリング事件」をきっかけに、PETAは一躍有名になりました。

シルバースプリング事件とは、メリーランド州の研究所で行われていたアカゲザルを使った動物実験に関する問題です。PETAは、この研究所で虐待を受けていたサルたちの存在を暴露し、警察の捜査と動物福祉法の改正へと繋げました。この事件を機に、PETAは世界的に知られる動物保護団体としての地位を確立しました。

PETAが取り組む主な問題

PETAは現在、主に以下の4つの問題に取り組んでいます。

工場畜産: 工場畜産における動物の劣悪な飼育環境と虐待的な扱いを批判し、ヴィーガニズムを推進しています。
毛皮: 毛皮産業における動物の残虐な殺害方法に反対し、毛皮製品の不買を呼びかけています。
動物実験: 動物実験の非倫理性と非効率性を主張し、代替方法の研究を提唱しています。
動物を使った娯楽: サーカス、動物園、競馬など、動物を娯楽目的で利用することに反対しています。

これらの問題に加え、PETAは肉食、釣り、害獣駆除、鎖で繋がれた犬の飼育、闘鶏、闘犬、闘牛など、動物に対するあらゆる搾取や虐待に反対の姿勢を示しています。

PETAの活動手法

PETAは、以下の様な様々な手法を用いて活動を行っています。

内部調査: 動物実験施設や畜産工場などに潜入し、動物虐待の証拠を収集して公表しています。これらの内部調査は、動物福祉法違反の摘発や企業への圧力につながっています。
メディアキャンペーン: テレビ、インターネット、広告などを通じて、動物の権利に関する情報を発信しています。有名人を起用したキャンペーンも多く、注目を集めています。
企業への圧力: 大手企業に対し、動物に配慮した製品やサービスを提供することを求めています。不買運動や株主としての提言などを通じて、企業の方針転換を促しています。
直接行動: デモや抗議活動を通じて、社会に動物保護の必要性を訴えています。時に過激な行動も伴うため、賛否両論を呼んでいます。

PETAの主張

PETAは、動物は人間と同様に痛みや苦しみを感じる存在であり、人間によって利用されるべきではないという考えを根本に置いています。動物に対する種差別を否定し、動物を財産とみなす考えに反対しています。

PETAは、ヴィーガニズムを推進し、肉や乳製品、卵などの動物性食品の摂取に反対しています。また、毛皮や皮革、羊毛、絹などの動物性素材を使った衣類の着用にも反対しています。

PETAは、動物実験を不必要かつ残酷な行為として批判し、代替方法の研究を支持しています。また、動物を使った娯楽やスポーツも、動物の権利を侵害するものとして非難しています。

PETAの論争と批判

PETAの活動は、常に論争と批判の的となってきました。特に以下の点について、多くの批判が寄せられています。

過激なキャンペーン: ホロコーストや奴隷制度といった人権問題と比較するキャンペーンは、倫理的に問題があると非難されています。また、子供向けに過激なメッセージを発信するキャンペーンも、悪影響を与えるとして批判されています。
セクシーな活動: 動物の権利を訴えるために、裸の有名人や性的なイメージを利用するキャンペーンは、女性を商品化しているとしてフェミニストから批判されています。
動物の安楽死: PETAが運営するシェルターで、多くの動物が安楽死処分されていることが批判されています。PETAは、重病や攻撃性のある動物にとっては安楽死が最善の選択肢であると主張していますが、ノーキル運動を支持する人々からは非難されています。
動物解放戦線（ALF）らとの関係: FBIからテロ組織に指定されているALFなどの団体に資金提供していることが、PETAの活動に対する信頼性を損なうものとして批判されています。

まとめ

PETAは、動物の権利を主張する世界最大級の団体であり、数々の論争や批判を浴びながらも、動物保護活動を精力的に展開しています。PETAの活動は、動物の権利に関する社会的な意識を高め、多くの企業や団体に影響を与えてきました。今後も、PETAは動物の権利を守るための活動を続けていくと考えられます。

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