闘牛

闘牛（とうぎゅう）についての包括的な解説

闘牛は、牛と闘牛士が戦う競技であると同時に、牛同士が対峙し繰り広げる戦いでもあります。この競技は、特に西欧で文化的な存在感を持ち、スペイン、ポルトガル、南部フランス、さらにはラテンアメリカの各地でも行われています。

西欧における闘牛の現状

スペインでは、闘牛は国技として浸透しており、人気が高い一方で動物愛護の観点から強い批判が寄せられています。特に、牛が槍や剣で刺せられ、最終的に命を落とす様子は、近年ますます問題視されています。昭和50年には、日本の中央環境審議会がメキシコにおける闘牛の公開に反対する声明を出しています。

語源については、スペイン語で「コリーダ（Corrida de toros）」と呼ばれることが一般的で、これが多くの場合で闘牛を指す言葉として用いられています。闘牛士の中でも、特に「マタドール」と呼ばれる役割は専門的で、全体の約1割を占めています。残りの9割は准闘牛士ならびに、それに結びつく関連の役割に分類されます。

牛の興奮を引き立てるために赤い布（ムレータ）が使われますが、これは意外にも牛が色を判別できないため、単に動きに対する反応に起因しています。もともと赤以外の色、たとえば白や黄色の布が使われていましたが、現在では観客の興味を引くために赤が選ばれています。

歴史的背景

闘牛の起源は、中世の西ゴート王国にさかのぼります。特に10世紀から11世紀の間には、貴族が主催するイベントとして闘牛が行われ、その様子が文学作品に描かれました。騎士たちが牛を槍で刺す戦いが民衆に公開されていました。

18世紀以降、騎馬闘牛が衰退するに従い、マタドールが主役として登場します。彼らは牛との対決を単独で行う形式が主流となり、近代的なスタイルが確立されました。しかし、2000年代に入るとサッカーへの人気シフトや動物愛護活動の高まりにより、観客数は減少し、2007年には国営テレビの生放送が中止されるなど、その人気は厳しい状況にあります。

カタルーニャでは、スペイン本土初の闘牛禁止法が成立し、以降は闘牛の文化が衰退しています。その文化的背景として、地域の独自性や動物愛護の高まりが影響を与えていることが考えられます。

日本における闘牛

日本の闘牛は、牛同士が格闘する形式が特徴的で、人間は牛をサポートする役割を果たします。このスタイルは主に、岩手、新潟、島根、愛媛、鹿児島、沖縄などの地域で行われており、沖縄では無形文化財にも指定されています。

この競技の起源についてははっきりとした資料は存在しませんが、1187年に後白河法皇が観覧したという記録が残っており、非常に古い伝統であることは確かです。特に、牛の角突きや牛相撲といった形式で行われます。新潟地域では、角突きが国の重要無形文化財に指定されており、その文化的価値が認識されています。

牛の種類と役割

日本で使用される牛の種類は主に黒毛和牛や日本短角種が多く、これらは主に闘牛用として育てられています。競技に出場する牛は、特別に育成されたものであり、稽古として海岸での散歩や首の鍛錬を行うなど、多くのトレーニングを受けています。

また、闘牛における人間の役割は重要で、牛を支える勢子（せこ）として、競技中に牛の体勢を調整したり、声援を送ったりします。これにより、牛が最大限のパフォーマンスを発揮できるようサポートしています。

世界各地の闘牛

イギリスやフランス、トルコ、オマーン、さらにはコロンビアなど、さまざまな国で独自の闘牛文化が根付いています。スペインの影響を受けながらも、それぞれの地域で異なるスタイルやルールが定められており、闘牛という文化の多様性を示しています。

まとめ

闘牛は、地域によってさまざまなスタイルや形式があり、歴史的にも深い文化的意義があります。しかし、近年の動物愛護の高まりや、娯楽の多様化によって、その存在意義が問われているのも事実です。今後、闘牛文化がどのように発展していくのかは注目です。

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