動画 (アニメ制作)

アニメ制作における動画工程

アニメーション制作において、動画工程は非常に重要な役割を担っています。動画とは、原画の間を補完するコマを描き、最終的なアニメーション映像を完成させる工程、またはその工程で制作された線画素材、そして担当スタッフを指す、多様な意味を持つ言葉です。

動画の役割

動画工程では、既に清書された原画を繋ぎ、滑らかな動きを作るためのコマを描き加えます。この工程によって、原画だけでは表現しきれない細やかな動きや、自然な流れがアニメーションに付加されます。完成した動画は、アニメーションの映像素材として直接使用されます。

動画番号と管理

効率的な制作管理のため、動画には番号が割り当てられます。カットごと、またはセルごとに連番で管理することで、動画の抜け落ちや重複を容易に検知することができます。また、基準となる動画と、それ以外の動画を区別するために、番号を囲む記号（原画トレースは○、中割参考は△など）を使用する手法もあります。

タメツメと動きの表現

タメツメとは、原画寄りに中割を詰めて、アニメーションに動きに緩急やメリハリをつける技法です。特に、誇張表現が多いアニメーションでは、タメツメによって現実にはありえないようなダイナミックな動きや、間（ま）の取り方、ケレン味のある演出が実現可能です。3DCG制作においても、同様の動きの調整が「タメツメ」と呼ばれることがあります。しかし、作画と3DCGでは「ツメ」の意味が正反対になるため、注意が必要です。

二値化と彩色の効率化

多くの場合、動画の線画は二値化されます。二値化とは、画像データを白と黒の2値で表現することです。これは、後工程の彩色作業を効率化するために行われます。アンチエイリアス処理を施した線画は白に近いグレーのピクセルを含み、塗りつぶしツールを使うと塗り残しが発生することがあります。二値化することで、このような問題を防ぎ、スムーズに彩色を進めることが可能になります。

ヌキ指示と透過表現

アニメーションでは、背景が見える透過部分が必要になる場面があります。動画は線画であるため、どの部分が透過すべきか分かりにくい場合があるため、透過領域には「ヌキ」と書き込んだり、✘マークを付けたりして、仕上工程への指示を行います。

動画工程の構成：クリーンナップと中割

動画工程は、大きく分けて「クリーンナップ」と「中割」の2つの工程から構成されています。クリーンナップでは、原画をトレースして清書し、線画を綺麗に整えます。その後の中割工程では、クリーンナップされたコマの間に、動きを補完するコマを描いていきます。海外作品では、クリーンナップと中割を別々のセクションで行う場合もあります。

中割の種類と指示

中割は、原画と原画の間にコマを挿入する工程であり、その手法によって「均等割り」、「詰め（先詰め、後詰め、両詰め）」に分けられます。均等割りでは原画間の間隔を等間隔に分割し、詰めでは原画のどちらかに間隔を寄せることで、動きの速度感やニュアンスを調整します。中割指示は、中割がどの位置に配置されるべきかを示した指示です。ゲージやカーブ図などで表現されます。

中割参考と品質管理

中割参考は、中割作業の際に用いられる下絵のようなものです。中割の質を担保し、動画マンの技量に左右されない一定の品質を維持するために使用されます。原画マンや作監、動画検査担当者が作成することがあります。

自動中割と効率化

アニメーション制作における大きな負担となっている中割工程を効率化するために、近年では自動中割ソフトが開発されています。これにより、制作コストの削減と、作業効率の向上が期待できます。

動画検査と動仕

動画検査は、完成した動画に不備がないかを確認する工程です。不備が見つかった場合は修正が行われます。動仕は動画と仕上（彩色）を一体化させた工程で、動画検査は行われません。

動画マンの役割とスキル

動画マンは、動画工程を担当するアニメーターです。高品質な線画を描く技術、アニメーションの動きを理解する能力、三次元的な空間認識能力など、高度なスキルが求められます。

国外発注

動画工程は、仕上げ工程とセットで海外(主に中国や韓国)に発注されることが多くあります。人件費の安さが理由ですが、必ずしもコストが安くなるわけではなく、品質や納期など総合的に判断する必要があります。

参考文献

上記の解説は、様々な参考文献に基づいて作成されています。(具体的な参考文献リストは省略)

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