勝井五八郎

勝井五八郎

勝井五八郎（かつい ごはちろう）は、文化12年（1815年）に生まれ、慶応元年（1865年）に没した、江戸時代末期の対馬府中藩の家老です。諱は員周（かずちか）といい、一般には勝井騒動の指導者として知られています。

生涯

父は勝井五郎吉。妹・たみは宗義和の側室であり、宗義達の生母にあたります。

天保3年（1832年）9月より無禄で奉公を始めました。弘化4年（1847年）に妹・たみが男子（後の宗義達）を産んだことが、五八郎の運命を大きく変えます。それ以前には他の側室・碧が産んだ勝千代との間で世子争いが勃発していました。一旦は勝千代が世子となりますが、安政6年（1859年）に勝千代が死去したため、五八郎は藩政改革に乗り出します。その中で、側室であった碧とその一派を排除しました。

文久2年（1862年）8月には、脱藩した四十二士を支援し、江戸詰家老であった佐須伊織を殺害させています。文久3年（1863年）4月には馬廻に就任し、執政となりました。

同年5月、京都の雙林寺で行われた在京藩会議において佐幕論を展開し、大浦教之助・平田大江らの尊王攘夷派と激しく衝突しました。元治元年（1864年）3月には、側用人から大勘定執務に昇進しています。同年4月には、大浦の子・作兵衛に刺客を放ち、自殺に追い込みました。9月29日、大浦らを弾劾するため、同志26人と共に肥前国田代を出発し、10月13日に対馬西ノ浜に上陸すると、宗義達を擁してクーデターを起こし、尊王攘夷派の弾圧を開始しました。11月には奥家老（石高1100石）となっています。

慶応元年（1865年）4月29日夜、樋口謙之亮ら29人により側近の3人が殺害されるという事件が起こります。樋口が代表として藩主・義達にそれを報告すると、義達は五八郎の誅殺を命じました。5月2日、山中に一旦逃れましたが、夜間に帰宅したところを待ち伏せされ、ついに殺害されました。

勝井騒動

勝井五八郎の名前は、彼が主導した一連の騒動、いわゆる「勝井騒動」と深く結びついています。世子争いをきっかけとした藩政改革、尊王攘夷派との対立、クーデター、そして最終的な暗殺という彼の劇的な生涯は、幕末の激動を象徴する出来事として語り継がれています。

勝井五八郎の行動は、対馬藩の政治に大きな影響を与え、その後の歴史を大きく左右しました。彼の功績と過ちは、今日においても様々な議論を呼んでいます。

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