宗義達

宗義達：波乱に満ちた藩主の生涯

宗義達（そう よしあきら/よしあき、1847年12月13日-1902年5月25日）は、対馬国府中藩の第16代藩主であり、宗氏第35代当主です。明治維新後、初代藩主・宗重尚から一字を取り、宗重正と改名しました。

複雑な家督相続

1847年、第15代藩主・宗義和の三男として生まれた宗義達は、当初は父から跡継ぎに指名されていました。しかし、父が側室とその間に生まれた息子を寵愛し、宗義達は廃嫡の憂き目に遭います。その後、異母兄の早世と側室の追放によって、家督相続の機会を得ることとなりました。1862年、父の隠居に伴い、第16代藩主の座に就いたのです。

藩政の混乱と財政難

藩主となった宗義達でしたが、その治世は決して平穏ではありませんでした。1864年の第一次長州征伐における長州藩の敗北後、保守派によるクーデターが発生し、藩内は激しい対立に陥りました。尊王攘夷派と佐幕派の争いは、多くの犠牲者を生み出し、藩政は混乱を極めました。さらに、貿易事業の失敗や浪費、借財の増加によって、藩の財政は深刻な危機に直面することになります。

明治維新とその後

戊辰戦争では新政府に与し、その後、版籍奉還により府中藩知事（府中は厳原と改名）に任じられ、李氏朝鮮との交渉にも携わりました。1871年の廃藩置県で知事を免職された後は、外務大丞に任命されます。1884年には伯爵に叙せられ、1890年には侯爵への昇進を願い出ましたが、実現しませんでした。1902年、56歳で生涯を終えました。

人物像と功績

宗義達は、複雑な家督相続を経て藩主の地位に就き、藩政の混乱や財政難といった困難な状況の中で、藩の舵取りに奔走しました。明治維新後も、外交や政治面で重要な役割を果たしました。しかし、彼の治世は、内紛や財政問題といった課題に常に悩まされ続けるものでした。

家族関係

宗義達の家族関係もまた複雑でした。父は宗義和、母は勝井五郎吉の娘です。正室は鍋島直正の養女、側室にはリウとサキがいました。長男は宗重望（宗氏第36代当主）、次男は氏家正誼、娘には松平武正の正室や酒井忠道の継室がいます。

関連事項

宗重正（改名後の宗義達）は、鶯丸や小烏丸といった名刀にも関わりを持っていました。これらの刀剣は後に御物となりました。また、刀剣会発起人の一人であった今村長賀とも関係がありました。

まとめ

宗義達の生涯は、激動の時代を生きた藩主の苦悩と奮闘を物語っています。家督相続争い、藩政の混乱、明治維新、そして外交交渉など、数々の出来事が彼の運命を左右しました。彼の功績と失敗、そして時代背景を理解することで、日本の近代史の一端を垣間見ることができるでしょう。

もう一度検索