勝田竹翁

勝田竹翁について

勝田竹翁（かつた ちくおう、生没年不詳）は、江戸時代前期に活躍した狩野派の絵師であり、その名は特に将軍家との深い関わりによって知られています。彼の本名は貞信（さだのぶ）で、さまざまな号を持ち、「士貞」や「陽渓」などとも称されました。また、彼は「竹翁」という号で広く知られ、他に「翠竹庵」という別名も持っていました。

生い立ちと経歴

竹翁は三河国加茂郡にある郷士、勝田平左衛門の子として生まれました。慶長13年（1613年）、彼は切米200表に加え、20人扶持の恩恵を受けたことが記録されています。彼の才能は若い頃から注目され、8歳で土井利勝に仕官し、2代将軍徳川秀忠の側禿の職務を果たしました。絵画への情熱を持つ竹翁は、狩野長信に師事し、その指導の下で技術を磨いていきました。

寛永7年（1630年）には、3代将軍徳川家光の御部屋絵師に任命されます。この職務の詳細については不明ですが、将軍にとって特別な位置にあったことは想像に難くありません。正保2年（1645年）には、米沢藩から依頼されて国絵図を制作し、その成果として南鐐10枚を下賜されました。この制作には202名が関与し、彼らにも金子が配られたと伝えられています。

画業と業績

明暦元年（1655年）、竹翁は4代将軍徳川家綱の就任祝賀のために朝鮮通信使へ贈るための屏風20双のうち5双について担当しました。この時、彼の役割は群を抜いており、他の画家と共に重要な作品を描いたことで、彼の絵師としての地位がさらに確立されました。寛文6年（1666年）には、御絵始めにおいて狩野探幽や安信と共に重要な役割を果たし、同じく価値のある服を与えられました。

このような実績から、秀忠、家光、家綱の3代にわたって活躍した竹翁は、特に1650年代以降、画壇において重鎮の一人として知られるようになりました。彼の作品群は後世にわたって評価され、江戸時代の絵画の象徴となりました。なお、竹翁は貞享4年（1687年）以前に亡くなったと考えられています。

家族と後継者

竹翁には絵師として王道を歩んだ子どもがいました。狩野貞寛（左兵衛）と狩野一渓（重良）は彼の後継者とされていますが、残念ながら貞寛は早世してしまいました。そのため、竹翁の直系は絵師としては存続しませんでしたが、彼の遺した画業は今も多くの人々に愛されています。

参考資料

竹翁に関する研究は多く、近年もさまざまな論文が発表されています。門脇むつみや中村玲の調査によって、彼の作品や業績が詳細に考察されています。特に「観馬図屏風」や《孔子・顔子・曽子像》などの作品に関する研究が進んでいます。彼の画業は、江戸時代の絵師たちへの影響を示す重要な作品群となっており、今後もその評価は続くでしょう。

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