匂い袋

匂い袋（においぶくろ）または香り袋（かおりぶくろ）は、香料を詰めた布袋であり、常温で香りを放つのが特徴です。持ち運び、個人的な香りを楽しむだけでなく、衣類や書物を保管する際に、それらを守る目的でも使用されます。欧米では同様のものがサシェ(Sachet)として知られています。

成分

日本の伝統的な匂い袋には、白檀、丁字、桂皮、龍脳、大茴香といった香料の粉末が用いられます。特に、白檀や丁字は防虫効果が高く、これらを主成分とした「防虫香」も市販されています。沈香は常温での香りが弱いため、匂い袋には通常使用されません。

一方、欧米風のサシェの中身は多様で、ハーブやドライフラワー、それらを香料と混合したポプリに似たものが一般的です。簡素なものでは、精油や香水を染み込ませた綿を使用することもあります。近年では、蝋にアロマオイルを混ぜたアロマワックスサシェも見られます。

歴史

正倉院には大小16個の匂い袋が保存されています。大型のものは、他の宝物を虫害から守るための衣被香（えびこう）として使用されたと考えられています。小型の匂い袋は長い口紐がついており、個人が帯に下げて持ち運び、身だしなみとして香りを楽しんだと推測されています。これらの歴史的な遺物は、匂い袋が古くから日本の文化に根付いていたことを示しています。

匂い袋は、単なる香りを楽しむための道具としてだけでなく、文化的な背景や歴史を持つアイテムです。その多様な香りと用途は、現代においても私たちに安らぎと癒しを与えてくれます。

関連項目

* ポマンダー - 香料を入れたボール。

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