北ノ花吉保

北ノ花 吉保は、1950年6月13日に青森県むつ市（当時の下北郡田名部町）に生を受けた元大相撲力士である。本名を藤井 光雄と称し、角界では二子山部屋に所属して技を磨いた。均整の取れた体格を持ち、身長は181cm、体重は107kgであった。最高位は西十両4枚目。彼の相撲の持ち味は、右四つにがっぷりと組んでからの力強い投げや、相手を一気に土俵際まで追い詰める鋭い突きであった。これらの得意技を駆使し、土俵で勝負を挑んだ。

大相撲の世界への第一歩は、1969年5月場所での初土俵であった。番付の下位から着実に歩を進め、約9年間をかけて関取の座を目指した。そして、1978年3月場所、念願の新十両昇進を果たした。この場所は、力士・北ノ花吉保にとって、まさにハイライトとも言える活躍を見せた場所となった。新十両として臨んだこの場所で、彼は並み居る十両の力士たちを相手に11勝4敗という非常に優れた成績を収めたのである。この好成績により、場所の最後に催される十両優勝決定戦への進出を決めた。優勝をかけた最後の相手は、偶然にも同じ青森県出身であり、そして同じ二子山部屋に所属する兄弟子、大觥であった。部屋の仲間でありながら、土俵上ではライバルとして相まみえることとなった一番。熱戦の末、北ノ花は大觥の得意とする吊り出しに屈し、惜しくも十両優勝の栄冠を掴むことはできなかった。しかし、新十両場所での優勝争いという成績は、その才能と可能性を大いに印象付けるものであった。残念ながら、その後の場所では怪我などもあったのか、新十両場所ほどの成績を残すことは難しく、関取としての地位を長く保つことは叶わなかった。十両での在位は通算でわずか4場所に留まった。最終的に、1980年5月場所をもって現役を引退することを決断し、およそ11年間にわたる力士としてのキャリアに終止符を打った。

土俵人生全体を通じた北ノ花吉保の通算成績は、67場所の在位で256勝230敗8休を記録しており、勝率は.527であった。関取として番付に名前が載った十両での成績は、4場所で26勝34敗、勝率は.433となっている。

現役中には四股名の変更も経験している。初土俵から1975年7月場所までは、本名である「藤井」のままで相撲を取っていた。その後、1975年9月場所からは「北ノ花 吉保」と改名し、引退する1980年5月場所まで、この四股名で土俵に上がり続けた。

大相撲を廃業した後の人生も、故郷である青森県むつ市を拠点としている。力士生活を終えた当初は、その経験を生かしてちゃんこ料理店を開業し、地域の食文化の一端を担う存在となった。しかし、その後、異なる分野へと転身することを決意。現在は「藤井カイロ整体」を開院し、地域の住民の健康維持や身体のケアに携わっている。角界での厳しい鍛錬で培った経験や、人との繋がりを大切にする姿勢は、現在の仕事にも活かされていることだろう。力士として土俵で奮闘した日々を経て、故郷で地域に根差した活動を続けている点は、彼の人生の大きな特徴と言える。

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