北九州土地転がし事件

北九州土地転がし事件

北九州土地転がし事件は、1981年に福岡県北九州市で発覚した大規模な脱税行為を伴った土地転がし事件です。この事件は、全日本同和会の分裂を引き起こし、社会的な波紋を広げました。

経緯と発端

事件の中心人物は、部落解放同盟小倉地区協書記長の木村政男と、その関係者である松尾正信や北代俊彦などの3名です。彼らは北九州市内で合計13件の土地転売を行い、約9億円の土地を約26億円で北九州市に売却し、約17億円という巨額の利益を上げていました。

この事件に関与した地上げ行為は全体で18件にのぼり、このうち松尾が6件、木村が12件に関わっていたと報告されています。木村政男は、特定の土地を著しく高い価格で市に売りつけ、市の圧力を利用して購入させるなどの手法を取りました。彼は自身の行為について「問題の土地を買ったのは市の方だ」と開き直る言動を示しました。

各主要人物の関与

木村政男

木村は、特に北九州市八幡西区において、2つの土地売買で市に圧力をかけ、大幅な値上げで購入させました。彼はこのような行為を解放同盟の仕事として正当化し、大きな利益を得ていました。

松本征幸

松本は、「児童遊園地建設」を名目に土地を複数取得し、約3ヶ月の間でその価格を大幅に引き上げ、市への圧力を行い利益を得ました。この中で、松本は土地権者からの依頼で市への口利きについて礼金を得たことを認めました。

北代俊彦

北代もまた、市や公社に対して高値での土地売却を行い、圧力をかけることで利益を上げていました。

松尾正信

松尾は、全日本同和会の会長として、北九州市の幹部に対して直接的な圧力をかけ、土地の売却を強要していました。最終的には、市は松尾から土地を高額で購入しましたが、これには地元からの疑義が寄せられました。彼の自宅も豪邸でその建築費用も土地転がしによる利益と見られています。

報道と市民の反応

1981年6月に報じられた『小倉タイムス』のスクープによって、この事件は大きく取り上げられました。報道直後、部落解放同盟は逆に告訴を企画するなどの混乱が生じました。しかし、事件はさらに広がりを見せ、他のメディアも後追い報道を行い、市民からの告発も続くこととなりました。

監査請求とその結果

同年中に市民279名が監査請求を行うなどして、市の同和行政に対する不正を追求しましたっと。この結果として、北九州市の内部で多くの問題が浮き彫りになり、解明が求められることとなりました。

市民団体からの告発は続きましたが、最終的にほとんどの容疑が不起訴となってしまい、その過程には多くの批判も寄せられました。

まとめ

この事件は部落解放同盟内での信頼を損なわせ、最終的には全日本同和会の分裂を招くこととなります。同時に、同和行政への視線やその運営方法にも大きな疑問が投げかけられました。北九州市及び同和団体への問責と反省を促す契機として、この事件は歴史に残るものとなりました。

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