全日本同和会

全日本同和会の歴史と変遷

全日本同和会（ぜんにほんどうわかい）は、かつて自民党と密接な関係を持ち、保守的な立場から同和問題に取り組んできた団体です。その成立は1960年に遡り、同和対策として全国的な組織の重要性を証明しています。

組織の成り立ち

1951年11月、近畿・中国・四国・九州などの地域の同和対策関係職員が中心となり、全日本同和対策協議会が設立されました。この協議会は当初、部落解放同盟と提携し、政府に対して同和対策を積極的に求める活動を展開しました。しかし、理念の違いから関係は次第に悪化し、最終的には分裂を避けられませんでした。

佐藤栄作元首相は、保守系団体の結成を指導する柳井政雄に、帝国公道会の理念に基づく同和団体を再興するよう依頼しました。この結果、全日本同和会は1960年5月に設立され、自民党の支持を受けて活動を展開しました。初代会長は柳井政雄が就任し、彼のもとには解放同盟から除名された土岡喜代一が事務局長になりました。

盛況と影響力

設立当初から全日本同和会は日本国内に広範な支持基盤を築き、1966年設置の同和対策協議会や1960年設置の同和対策審議会に参加するなど、政府の政策に影響を与える存在となりました。公称の組織人数は日本で最大規模を誇り、多くの自民党国会議員が参加する全国大会も盛況でした。この状況は、同和会が保守系の同和団体として力強い影響を持っていたことを示しています。

組織の衰退と分裂

しかし、組織内部では問題が生じ始め、特に第19回全国大会以降、松尾正信を中心とする「暴力・利権派」の影響力が強まりました。これにより不法行為が増加し、1981年に発覚した北九州土地転がし事件は、その象徴的な不祥事となりました。

その後、松尾会長に対する不満が高まり、幹部の利権あさりによる逮捕者が続出したことが組織の亀裂を招きました。1986年には全日本同和会から全国自由同和会が分裂し、自民党との関係も変化しました。それでも、同和会はタカ派の一部と連携を維持し、登録員数は35万人を超えていました。

この間、組織は国民に対して対話と協調の重要性を伝え、恐怖感や差別を煽ることを否定しました。

現在の状況

2023年現在、全日本同和会は複数の団体に分裂しており、東京都連合会は5つの異なるグループに分かれています。2023年には、山口県で部落解放同盟と共催の集会が開催され、両団体の関係の変化を象徴しています。

主な不祥事

全日本同和会の歴史にはいくつかの不祥事が記録されています。1985年には相続人に対する脱税指導が問題となり、また1986年以降の複数の幹部が逮捕されるなど、悪化の一途をたどりました。これにより、同和会への信頼は揺らぎ、組織のイメージにも影を落としました。

結論

全日本同和会は、日本の同和問題における重要な組織であり、その成立から現在までの歴史は、同和運動の複雑さを浮き彫りにしています。今後の動きや新たな展開に注目が集まっています。

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