北京の55日

北京の55日

『北京の55日』は、1963年に公開されたアメリカの映画で、ニコラス・レイ監督が手がけ、チャールトン・ヘストンやエヴァ・ガードナーなどが主演しています。物語は、清朝末期の義和団の乱を背景に、外国人居留民が籠城戦を繰り広げる様子を描いています。この作品は、その壮大さや激しい戦闘シーンから多くの注目を集めました。

背景と制作

義和団の乱は、1899年から1901年にかけて中国で発生した一連の暴動で、外国勢力の排除を求める運動でした。この映画は、その過程での11か国の居留民が北京の外国公使館地区に籠城し、55日間の戦闘を繰り広げるという物語を中心に展開します。製作はサミュエル・ブロンストンで、マドリードを拠点に歴史劇の大作を次々と手がけていました。

ニコラス・レイ監督は、青年期のジェームズ・ディーンで有名な『理由なき反抗』の監督でもあり、彼の演出によって映画は迫力を持っています。特に戦闘シーンはアンドリュー・マートンが手がけ、大規模な戦闘シーンが見所となります。音楽はディミトリ・ティオムキンが担当し、中国風の旋律を用いながら、列国の行進曲をアレンジした壮大な演奏が印象的です。

あらすじ

清王朝が衰退を続ける中、義和団が北京に迫る。アメリカ海兵隊のマット・ルイス少佐は、配下の部隊とともに北京に到着する。ホテルで各国の将校と話を交わす中で、ロシアのナタリー男爵夫人と恋に落ち、舞踏会で共に過ごします。義和団の活動が活発化する一方、清王朝内部では和平派と主戦派が対立していました。

義和団はついに攻撃を開始。ルイス少佐や他の居留民は、籠城しながら自衛に努めます。最初は約3000人の外国人が北京公使館地区に籠城し、戦いに挑む様子が描かれています。戦闘が激化する中で多くの仲間を失いながらも、彼らは戦い続け、最終的に援軍が到着することを心待ちにします。

劇的なクライマックス

55日目、義和団からの総攻撃が始まりますが、その日は不思議と味方を攻撃するはずの砲弾が義和団の方へ落ちるという異常事態が発生し、まるで運が味方しているかのような展開を見せます。ルイス少佐は、他の居留民と共に80日以上に及ぶ籠城生活の終焉を迎え、久しぶりの安堵感を味わいます。

キャストと歴史

この映画には、日本から大映を退社した伊丹十三が出演しており、当時としては珍しい日本人俳優のアメリカ映画参画となりました。また、義和団の描かれ方については、現在の中国では異なる見解が存在し、帝国主義的侵略に抵抗した義民として肯定されています。撮影はスペインで行われ、数千名の中国人がエキストラとして参加しました。

『北京の55日』は、その当時と今を映し出す映画であり、歴史的な出来事を壮大に描くと同時に、戦いの中での人間関係や愛を描いています。近年、映画の見方が変わる中、再評価されつつある作品でもあります。

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