北大西洋条約機構潜水艦救助システム

北大西洋条約機構潜水艦救助システム (NSRS)

北大西洋条約機構（NATO）に加盟する国々が共同で開発・運用する潜水艦救助システムである「北大西洋条約機構潜水艦救助システム（NSRS）」は、緊急時における救助機能を充実させるために設計されています。このシステムは、特にイギリスのLR5潜水艦救助システムの運用経験を背景に、新たにフランスやノルウェーなどの国々と共に開発されました。

システムの概要

NSRSは2006年に運用を開始し、2007年半ばには従来のイギリスの救助システムに取って代わりました。このシステムはエアバスA400M輸送機に搭載され、潜水艦の事故による出動要請に応じて、56時間以内に現場に到達できる能力があります。現場では、介在型遠隔操作式無人潜水機（IROV）を用いて、潜水艦の状況を調査した上で、救助手順を決定します。

主要な構成要素

介在型遠隔操作式無人潜水機 (IROV)

IROVは、遠隔操作が可能な無人潜水探査機であり、商業用に広く使用されているトリトンを基に開発されています。深度1000mまで対応できる推進力を持ち、コンパクトな設計により携行性に優れています。これにより、厳しい条件下でも柔軟に対応できる能力を誇ります。

潜水艦救助機 (SRV)

SRVは、有人の深海救助艇で、従来の救助機をもとにした最新世代の機器です。全長10m、重さ27tで、最大水深610mまでの救助が可能です。また、60度の傾斜に耐えられる設計となっており、2007年に納入されてから訓練の中で運用されています。光ファイバー通信によって母船との連携を保ちつつ、ダイバーなしでも救助を行える画期的なシステムです。

可搬型発進回収システム (PLARS)

PLARSは、SRVの発進と回収を行うためのシステムで、厳しい海況でも運用できるように設計されています。C-130輸送機やA400M輸送機での空輸が可能で、迅速な展開が求められる状況でも対応できます。

減圧システム (TUP)

TUPは、自動化された減圧および医療支援システムで、レセプションチャンバーを用いて最大150人を収容することができます。また、68人分の医療スペースも提供され、潜水後の健康管理にも寄与しています。

運用ベース

NSRSはスコットランドのクライド海軍基地を拠点に運用されており、様々なシナリオに対応できる体制を整えています。国際的な協力が求められる中、このシステムの重要性はますます高まっています。

関連項目

• - ハーシュタ (警備艦)
• - LR5 潜水艦救助システム
• - 国際潜水艦脱出救難連絡事務局

外部リンク

• - Royal Navy NSRS page
• - Rolls-Royce NSRS page

このように、NSRSは高い技術力を背景に、深海における潜水艦事故時の迅速な救助を可能にするシステムとして、加盟国の海上安全を支えています。

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