北平柳村

北平柳村（きたひらやなぎむら）

概要

北平柳村は、かつて埼玉県北足立郡に存在した村です。1901年（明治34年）5月3日に、鳩ヶ谷町（現在の川口市の一部）に編入される形で消滅しました。この村の歴史は、明治時代の地方行政改革の中で、近隣の村々と合併し、その後、他の自治体の一部となるという、当時の日本の地方行政の変化を象徴しています。

地理

北平柳村は、埼玉県のほぼ中央、北足立地域南部に位置していました。村の南東側は、当時の東京府（現在の東京都）と接しており、都市部との境界に近い場所でした。西側には芝川が南北に流れ、この地域を特徴づける地形の一つとなっています。また、村の南部には新芝川が東西に流れていますが、これは北平柳村が廃止された後に開削されたものです。

地形としては、ほぼ全域が低地ですが、鳩ヶ谷町に近い北部には台地も見られました。この地形は、農業や生活に大きな影響を与えていたと考えられます。

村の中央部を南北に貫くように日光御成街道（現在では国道122号・埼玉県道105号さいたま鳩ヶ谷線）が通っており、交通の要所としての役割も担っていました。この街道は、村の発展にも寄与したと考えられます。

現在の川口市において、旧北平柳村の領域は、鳩ヶ谷市の北東部を除く地域、具体的には大字里、大字辻、大字前田、南（現南鳩ヶ谷）、緑町（現鳩ヶ谷緑町）、三ツ和、八幡木などがほぼ該当しますが、桜町1丁目や坂下町1丁目・4丁目付近も含まれており、現在の町名から旧村の範囲を正確に特定するのは困難です。なお、現在の川口市役所鳩ヶ谷庁舎（旧鳩ヶ谷市役所）は、旧鳩ヶ谷宿の領域ではなく、旧北平柳村域の三ツ和に位置しています。

歴史

北平柳村の歴史は、明治維新後の地方行政の変遷と深く関わっています。1869年（明治2年）に、武蔵知県事の管轄区域が大宮県となり、その後、浦和県に改称されました。さらに、1871年（明治4年）には、浦和県、忍県、岩槻県の3県が合併し、現在の埼玉県が誕生しました。

1877年（明治10年）には、中居村、小渕村、上新田村が合併し、三ツ和村が成立しました。1879年（明治12年）には、足立郡の区域をもって行政区画としての北足立郡が発足し、郡役所は浦和宿に設置されました。

1889年（明治22年）4月1日、町村制施行に伴い、三ツ和村、辻村、里村、前田村、そして浦寺村の飛地が合併し、北平柳村が誕生しました。村名の「平柳」は、中世にこの地域を支配していた武士の氏の名前に由来するとされています。なお、村の南側には、南平柳村（現在の川口市における南平地域）も存在していました。

しかし、北平柳村は1901年（明治34年）5月3日に北足立郡鳩ヶ谷町に編入され、その歴史に幕を閉じました。この編入は、当時の地方行政の方針や、地域の発展戦略に基づいて決定されたと考えられます。

関連項目

• - 埼玉県の廃止市町村一覧

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