北彩都あさひかわ

北彩都あさひかわ

北彩都あさひかわは、北海道旭川市における大規模な再開発プロジェクトの名称であり、旭川駅周辺地区を対象とした一連の事業を包括しています。このプロジェクトは、鉄道の高架化、土地区画整理、河川空間の整備などを組み合わせ、都市機能の向上と魅力的な空間の創出を目指しています。

プロジェクトの概要

北彩都あさひかわは、旭川駅を中心とする市街地と忠別川の間に位置する86.2ヘクタールの区域を対象としています。この地域は、かつて国鉄の跡地であり、その有効活用と、忠別川によって分断されていた都心部と神楽地区との連続性を確保することを目的としています。このプロジェクトは、国、北海道、旭川市、JR北海道が共同で事業主体となり、総括調整者は加藤源氏が務めました。

マスタープランの策定段階から、アメリカのランドスケープデザイン事務所であるピーター・ウォーカー事務所が参画し、ランドスケープ・プランニングの考え方やデザイン手法が取り入れられました。特に、忠別川をアーバンデザインの軸として捉え、河川空間と市街地の整備を一体的に進めた点が特徴的です。実際の設計は、下田明宏氏率いるD+Mが担当し、「あさひかわ北彩都ガーデン」の設計は、高野文彰氏率いる高野ランドスケーププランニングが手がけました。

基本コンセプトとして「『都心ルネッサンス・旭川』〜人々の楽しく集う空間、未来型の都心〜」を掲げ、以下の4つの柱となるコンセプトを設定しました。

1. 【都心拠点の形成】北の生活文化産業の融合拠点づくり
2. 【都心オアシスの形成】自然と融合する都心づくり
3. 【躍動都心の形成】活き活き躍動する都心づくり
4. 【未来都心の形成】旭川のメインステージづくり

これらのコンセプトに基づき、鉄道の高架化と南北道路の整備、新しい都市機能の導入、忠別川の環境を活用した都心形成、賑わいを創出する都心空間の形成という整備方針が定められました。

主な事業

旭川鉄道高架事業

旭川駅を中心に、線路を高架化して駅舎を新設する事業です。このプロジェクトでは、忠別川の南側に駅を約70m移設する別線方式が採用され、全国的にも珍しい「川のある駅舎」となりました。駅舎の設計は内藤廣氏が担当しました。高架事業は1998年に着工し、まず地区内にあった車両基地を北に移設することから始まりました。高架橋は、周囲の緑や水辺空間との調和を考慮して設計され、駅舎外壁は全面ガラス張りで、忠別川や市街地の景色を眺めることができます。駅舎の内装には、道産木材が多用され、「木のまち旭川」「家具のまち旭川」を意識したデザインとなっています。駅舎全体は、大きな屋根と20本の柱で支えられており、広々とした内部空間が演出されています。この事業は2011年度に完了しました。

旭川駅周辺土地区画整理事業

駅南側への都心部の拡大と、河川空間などの自然と調和した市街地の形成を目指した事業です。道路や公園などの都市基盤を整備し、鉄道高架の用地を確保しました。計画当初からランドスケープ・プランニングを重視し、地区計画や都市景観条例を考慮しながら計画が進められました。この事業により、駅前広場が約0.8haから約2.2haに拡大し、バス乗降場、タクシープール、駐輪場、イベント広場なども整備されました。

関連街路事業

忠別川に3つの橋を架ける幹線道路整備事業です。新神楽橋は4車線化され、アーチ橋のデザインが採用されました。氷点橋とクリスタル橋は、シンプルな桁橋としてデザインされ、一般公募で名前が決定しました。氷点橋は三浦綾子氏の小説『氷点』にちなんで命名されています。

忠別川河川空間整備事業

堤防の整備と合わせて、親しみやすい河川空間を創出する事業です。河畔林には、在来種が植樹され、生態系に配慮した整備が行われました。あさひかわ北彩都ガーデンがある右岸地区には、生態階段が設けられ、市街地から河川空間への移行帯が細分化されています。大池は、市民が気軽に水に触れ合える場所として、湿地の一部を再生し、レクリエーション空間や環境教育の場として活用されています。

シビックコア地区整備事業

シビックコアを取り入れた施設として、旭川市障害者福祉センターおぴった、旭川合同庁舎、旭川市科学館サイパル、旭川市市民活動交流センター（CoCoDe）が建設されました。

プロジェクトの沿革

1980年代から旭川市中心部の南側に位置する神楽地区で都市機能の整備が進められてきました。1987年に策定された『旭川新総合開発計画』では、旭川駅周辺地区の広域的な拠点整備や交通網整備が進められることになりました。その後、1991年に計画が策定され、1996年に旭川駅周辺土地区画整理事業が認可され、1998年に北彩都工事が着工しました。2000年代に入り、各種施設がオープンし、2010年には鉄道高架が開通、2011年には旭川駅舎が全面開業しました。その後も、2013年にあさひかわ北彩都ガーデンがプレオープン、2014年に北彩都あさひかわが完成し、2015年にはイオンモール旭川駅前がオープンしました。

北彩都の地区構成

北彩都あさひかわは、以下のテーマ地区、複合地区、沿道地区、リバーフロント地区、シビックコア地区、都心居住地区、住宅地区によって構成されています。

北彩都テーマ地区: 北の生活、文化、産業に関する施設や多目的広場などを配置
北彩都複合地区（駅前地区・駅東地区）: 商業、業務、サービス施設を導入し、賑わいを創出
北彩都沿道地区（昭和通地区・大雪通地区・宮前通地区）: 沿道サービス施設や店舗、事務所などを配置し、歩行者空間を整備
北彩都リバーフロント地区: サービス施設を中心に緑豊かな都市空間を創出
北彩都シビックコア地区: 公共・公益施設を配置し、行政機能の充実と市民活動の拠点形成
北彩都都心居住地区: 中高層の共同住宅を配置し、都心型の住環境を形成
* 北彩都住宅地区: 低層の専用住宅を配置し、良好な住環境を形成

受賞歴

北彩都あさひかわは、その優れたデザインと都市計画が高く評価され、『日本都市計画学会・学会賞』計画設計賞、『土木学会デザイン賞』最優秀賞、『都市景観大賞』国土交通大臣賞（都市空間部門）など、数々の賞を受賞しています。

関連情報

北彩都あさひかわの名称を冠する施設が、エリア内および周辺に多数存在します。例えば、場外馬券売り場の「レラ・スポット北彩都」、ライブイベントの「旭川ライブジャム」、ウィンタースポーツイベントの「バーサーロペットジャパン」などがあります。

北彩都あさひかわは、旭川市の都市再生の象徴として、今後もその発展が期待されています。

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