北斗星 (小惑星)

北斗星（ほくとせい）

太陽系において、火星と木星の軌道の間に広がる小惑星帯と呼ばれる領域に存在するのが、小惑星「北斗星」です。この天体には固有番号として5374番が付与されており、その読み方は「ほくとせい」（Hokutosei）と定められています。

発見の経緯

この小惑星は、日本の最北に位置する北海道の北見市において発見されました。天文学者である箭内政之氏と渡辺和郎氏が、この地での継続的な天体観測活動を通じて、新たな天体として見出したものです。彼らの地道な観測努力が実を結び、太陽系の未知の領域に存在する一つの小惑星が、その存在を明らかにしたのです。

名称の由来

小惑星「北斗星」の名称は、日本の鉄道史において、特にその旅情と豪華さで広く知られる存在であった寝台特急列車「北斗星」にちなんで命名されました。

この列車は、東日本旅客鉄道（JR東日本）と北海道旅客鉄道（JR北海道）が共同で運行していた特別な列車です。1988年3月13日、青函トンネルの開業という歴史的な出来事と共に、本州と北海道を直通する初の寝台特急として運行を開始しました。上野駅（東京都）と札幌駅（北海道）という、日本の主要都市間を結ぶ長距離列車であり、その運行距離と時間から、「走るホテル」とも称されるほどの充実した設備が特徴でした。

個室寝台を主体としたプライベート空間、本格的なフランス料理や懐石料理を提供する食堂車「グランシャリオ」、パブタイムが楽しめるロビーカーなど、従来の寝台列車にはない快適性と豪華さを提供しました。青く塗装された車体と、夜空の星をイメージしたヘッドマークは、多くの鉄道ファンや旅行者にとって憧れの対象となり、予約困難なほどの人気を博しました。

北海道への旅情をかき立てる存在として、運行開始から長きにわたり多くの人々に利用され、愛されてきましたが、車両の老朽化や新幹線網の整備などの影響により、惜しまれつつもその運行を終了することとなりました。定期運行は2015年8月22日、臨時運行も同年8月23日の出発便をもって廃止され、27年間の歴史に幕を閉じました。

この、日本の鉄道文化に大きな足跡を残した象徴的な寝台特急列車への敬意と記憶を留めるため、発見された小惑星に「北斗星」という名が与えられたのです。

小惑星としての位置

小惑星帯は、太陽系の形成初期に惑星になりきれなかった多数の岩石や金属の塊が集まった領域です。ここに位置する小惑星「北斗星」も、他の無数の小惑星と共に、太陽の周りを公転しています。その軌道要素や物理的な特性については、天文学的な観測や計算によって詳しく調べられています。

関連情報

小惑星「北斗星」（5374 Hokutosei）に関するより詳細な天文学的なデータや軌道情報は、ジェット推進研究所（JPL）などが公開しているデータベースで確認することができます。また、固有番号5001番から6000番までの小惑星を一覧にしたリストにも、この小惑星はその名を連ねています。

もう一度検索