北朝鮮における売春

北朝鮮における売春の実態

北朝鮮は公式には高い監視体制を敷き、売春を違法としています。しかし、実際にはその裏で売春は密かに行われており、様々な形態があることが知られています。特に都市部では、平壌を中心に花を売る女性たちが「花売り娘」として、売春行為を行っているとされています。彼女たちは特に観光客を対象に、素早く接近し、「花を買わない?」と声をかけることで売春を誘発します。このような状況は、観光客の存在が限られている北朝鮮において、ある意味での巧妙な方法と言えるでしょう。

国家による売春

また、北朝鮮の政府は自らの組織である「喜び組」を通じて、国家による強制売春を行っています。この「喜び組」は、厳選された14歳から20歳の女性たちから構成され、彼女たちは約20カ月間の訓練を受けた後、高官との結婚を強いられることが多いです。このように選ばれた女性たちは「満足組」と呼ばれ、労働党の高級幹部のために性行為を強要されます。ここで特筆すべきは、一般の北朝鮮男性は「満足組」のサービスを受けることができない点です。

売春の実態は、公にされていない情報ばかりですが、報告によれば、児童買春も行われる可能性があります。ただし、「喜び組」の全員が売春を行うわけではなく、中にはマッサージ業や歌舞を担当する者もいるため、複雑な状況が存在します。

外国人による売春

北朝鮮において外国人、特に中国人女性の売春は顕著です。金剛山観光地区では、中国からの売春婦たちが活躍しており、特に韓国人観光客をターゲットにしています。このような売春の背景には、特定の事情があります。1982年、初めて北朝鮮に渡った藤本健二は、平壌のカラオケバーにおいて、日本人とタイ人のホステスたちがいるのを目撃しました。彼女たちはタイでの「日本で働ける」との甘言に誘われ、拉致された者たちでした。藤本によると、彼女たちは高額な契約料を支払わされ、すべての稼ぎを取り上げられていました。その後、店舗の運営が見直され、売春行為は停止されたものの、このような事例は北朝鮮の状況を窺い知るには十分です。

中国への脱北女性とその現実

北朝鮮からの脱北者の中でも特に女性たちが増加しており、彼女たちが向かう先は多くが中国です。彼女たちは貧困や厳しい政治的圧力から逃げ出そうとしている一方、多くの脱北女性が中国で人身売買の被害にあっています。人権団体の報告によれば、脱北女性の多く、60%から80%が性的搾取を受けていると言います。

彼女たちは国境付近で暴力的な虐待を受け、性奴隷として遠くの都市へ移送されることが一般的です。中国当局が彼女たちを逮捕すると、本国に送還され、その結果、北朝鮮の政府は彼女たちを収容所に入れたり、重罪として処刑したりします。特に、彼女たちと中国人との間に生まれた子どもは、北朝鮮の「純血」を維持するために、処刑されたり強制的に堕胎されることが多いとされています。

このように、北朝鮮の売春問題は単なる性の問題ではなく、人権や社会問題が深く絡んだ複雑な現状を示しています。

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