北朝鮮サイバー軍

北朝鮮サイバー軍：実態と脅威

北朝鮮サイバー軍は、北朝鮮の電子戦部隊であり、朝鮮人民軍偵察総局に所属する実行部隊と、参謀部所属の統括センター、軍事大学機関などが複雑に絡み合っているとされています。その実態は、組織改編や名称変更が繰り返されるため、未だに全容が把握されていません。また、報道によって組織規模や人員数にもばらつきがあり、正確な情報が掴みづらい状況です。

活動内容

北朝鮮サイバー軍は、以下のような多岐にわたる活動を行っていることが確認されています。

暗号解読と機密情報入手: 各国の機密情報を入手し、自国の利益に繋げようとします。
産業技術の窃取: 他国の高度な技術を不正に入手し、自国の技術発展に利用します。
世論操作: 特定の国や地域で、自国に有利な世論を形成しようとします。
資金獲得: サイバー攻撃によって得た情報を不正に販売したり、ランサムウェアなどを用いて直接的に資金を奪い取ります。
ウェブサイトの改ざん: 他国のウェブサイトを改ざんし、混乱を引き起こします。
通信網の破壊: サイバー攻撃によって、他国の通信網を麻痺させます。
ウイルス・マルウェアの作成と拡散: 悪意のあるソフトウェアを作成し、他国のコンピュータに感染させ、情報を盗み取ったり、システムを破壊します。
他国の会社員の買収: ユーザーIDやパスワードを不正に入手するために、他国の会社員を買収することがあります。
サイバー攻撃による企業活動妨害: 企業へのサイバー攻撃によって、業務を妨害したり、損害を与えたりします。

これらの活動は、国家の安全保障や経済活動に深刻な影響を与える可能性があります。

組織構造

北朝鮮サイバー軍は、複数の部隊で構成されており、それぞれ異なる役割を担っています。

121局: 精鋭部隊とされ、高度な技術を持ったハッカーが集まっています。ソニー・ピクチャーズエンタテインメントへの攻撃に関与したとされています。
204局: 心理戦部隊であり、他国の世論を操作する活動を行います。
情報偵察部隊: 情報収集を専門とする部隊ですが、詳細は不明です。
情報統制センター: 各部隊を統括する役割を担っていますが、金正恩が直接指示しているとの情報もあり、実態は不明な点が多いです。
lab110: マルウェアやウイルスの作成と拡散に特化した部隊です。

これらの部隊は、北朝鮮国内だけでなく、中国など海外にも活動拠点を置いているとされています。

沿革

北朝鮮サイバー軍の起源は1986年にまで遡るとされています。当初は、米国の暗号解読を目的とした小規模な組織でした。その後、湾岸戦争での情報分析の的中をきっかけに、金正日によって重要視されるようになり、本格的なサイバー攻撃部隊として組織化されました。1996年には北朝鮮労働党作戦部所属として本格的に設立され、2009年に人民武力部（国防省に相当）偵察総局傘下に統合されました。

資金調達

北朝鮮サイバー軍は、サイバー攻撃を通じて資金を調達していることが明らかになっています。例えば、ゲームソフトにマルウェアを混入させて販売したり、企業や金融機関から直接的に資金を奪い取ったりしています。これらの不正な資金調達は、制裁下にある北朝鮮にとって重要な収入源となっています。

世論操作

北朝鮮サイバー軍は、インターネットなどを通じて他国の世論を操作する活動も行っています。具体的には、特定の政治家や政党を批判する情報を流したり、社会不安を煽る情報を拡散したりしています。また、過去の韓国大統領選挙では、親北的な候補を支持するよう世論を誘導した事例も報告されています。これらの活動は、民主主義を揺るがす深刻な脅威となっています。

バックドアの設置

北朝鮮サイバー軍は、政府機関や民間企業のコンピュータにバックドアと呼ばれる不正侵入用のプログラムを仕掛け、遠隔操作できるようにしています。これにより、大量のパソコンやスマートフォンを自由に操り、サイバー攻撃や情報収集を行うことができます。

ソニーへの攻撃

2014年には、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントへのサイバー攻撃に関与したとアメリカ連邦捜査局（FBI）によって断定されました。この攻撃は、同社が制作した映画『ザ・インタビュー』に対する報復措置とされています。

今後の脅威

北朝鮮サイバー軍は、今後も高度化・巧妙化するサイバー攻撃を仕掛けてくる可能性が高いと考えられます。国際社会は、北朝鮮のサイバー攻撃に対抗するために、連携を強化する必要があります。また、企業や個人も、サイバーセキュリティ対策を徹底することが求められます。

その他

北朝鮮サイバー軍は、中国のサイバー軍とも連携しているとの情報があります。
朝鮮総連系の学校のネットワークが、不正な活動に利用されているとの報告があります。
* 北朝鮮のサイバー攻撃による被害は、日本でも発生している可能性が指摘されています。

これらの情報は、北朝鮮サイバー軍が、日本を含む国際社会にとって深刻な脅威であることを示しています。我々は、常に警戒し、適切な対策を講じる必要があります。

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