北村敬子

北村 敬子（きたむら けいこ）

日本の著名な会計学者であり、中央大学名誉教授。1945年11月21日に奈良県で生まれ、2023年6月13日に逝去した。旧姓は米田。長年にわたり中央大学で教鞭を執り、会計学の発展と後進の育成に多大な貢献を果たすとともに、公的機関や企業の要職も歴任した。

経歴と人物

東京都立新宿高等学校を卒業後、中央大学商学部会計学科に進学。在学中には中央大学経理研究所に所属し、学部卒業を待たずに公認会計士の第二次試験（現在の論文式試験に相当）に合格するという、会計士補の資格を取得する異才ぶりを発揮した。1968年に同学部を卒業後、大学院に進み、1970年に商学研究科修士課程を修了。1973年には同博士課程において単位を取得し退学した。

同年より中央大学商学部助手として母校でのキャリアを開始し、1981年には教授へと昇進。学部時代から定年を迎えるまで、一貫して中央大学で教鞭を執り続けた。大学での教育・研究活動に加え、学内の運営にも深く関わり、1997年には商学部長を務め、2004年には副学長に就任し、大学運営の中枢を担った。

また、国の重要政策にも深く関与し、財務省の独立行政法人評価委員会で臨時委員を務めたほか、2000年代には内閣の司法制度改革審議会委員、法務省の法制審議会委員など、法曹界や行政における会計分野の専門家として重要な諮問機関で要職を歴任した。

教育・研究者としてだけでなく、企業経営の監査・監督にも携わった。2006年にはヤマトホールディングスの監査役、2014年には京王電鉄の監査役、2015年には明治安田生命保険の取締役および日野自動車の監査役に就任するなど、主要な日本企業で経営の健全性確保に貢献した。2021年には再び京王電鉄の取締役を務めている。

2016年3月に中央大学を定年退職し、名誉教授の称号を授与された。

教育者としての功績

北村氏の教育者としての最大の功績の一つは、彼女が主宰したゼミから多数の優れた職業会計人を輩出したことである。ゼミ生の中には公認会計士や税理士を目指す者が多く、OB・OGの約半数がこれらの難関資格を取得している。自身も学生時代に経理研究所で学び、会計士試験に合格した経験から、ゼミ生の難関資格取得に向けた指導には特に熱心であった。

ゼミ出身者には、大学教授や公認会計士、弁護士として活躍する者も多く、例えば田代樹彦（名城大学教授）、西山徹二（高千穂大学教授、副学長）、中村英敏（中央大学准教授・公認会計士）、小島一富士（中央大学経理研究所専任講師・公認会計士）、吉井久美子（弁護士・公認会計士）などが挙げられる。

研究業績と受賞

会計学の研究においても顕著な成果を上げ、共著・編著・論文を多数発表している。主な共著としては、『簿記講義』や『テキスト初級簿記』、『テキスト上級簿記』（いずれも中央経済社）といった会計教育に関する著作のほか、『財務報告のためのキャッシュフロー割引計算』（中央経済社）、『予測財務情報論』（同文館）、『会計学総論』（八千代出版）など、幅広いテーマに関する専門書がある。

その研究活動は高く評価され、1993年には日本会計研究学会賞を受賞。翌1994年には中央大学学術奨励賞も受賞している。

晩年

2023年6月13日に逝去。その功績に対し、没後には正五位に追叙され、瑞宝中綬章を追贈された。これは、長年にわたる教育、研究、そして社会貢献が高く評価された証である。

（脚注、外部リンクなどは省略）

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