北条霞亭

北条霞亭（ほうじょう かてい）

北条霞亭（1780年 - 1823年）は、江戸時代後期の漢学者であり、名は譲、字は子譲、士譲、景陽。通称は譲四郎、号は霞亭の他に天放生を用いていました。

生涯

伊勢国志摩郡的矢村（現在の三重県志摩市）に、儒医である北条道有の長男として生まれました。家督を弟に譲った後、各地を遊学し、皆川淇園や広岡文台に師事。また、亀田鵬斎の塾に寄寓するなどして、見識を深めました。

文化5年（1808年）に故郷へ帰ると、隣国である伊勢の林崎書院で講義を行いました。文化10年（1813年）には菅茶山の門人となり、その私塾の監督を任され、後に茶山の姪である敬を妻としました。

文政2年（1819年）には備後福山藩（現在の広島県福山市）に招かれ、藩校である弘道館で講釈に尽力しました。翌年には江戸へ移り住みましたが、この頃から病に臥せることが多くなり、文政6年（1823年）に44歳で没しました。墓所は巣鴨の真性寺にあり、墓碑は頼山陽によって記されています。

霞亭は、鼻梁が高く眼光の鋭い容貌で、狷介で頑固一徹な性格であったと伝えられています。

人物

学問に対する情熱は非常に深く、多くの学者に師事し、その知識を吸収しました。特に、菅茶山からの信頼は厚く、私塾の監督を任されたことからも、その学識と人柄が窺えます。備後福山藩の藩校である弘道館で講釈を行うなど、教育者としても活躍しました。

森鷗外の小説

森鷗外は、その著書『北条霞亭』において、霞亭の生涯を描いています。鷗外は、史実に基づきながらも、霞亭の人物像を鮮やかに描き出し、その学問への情熱や、不器用ながらも誠実な生き方を浮き彫りにしました。この作品は、霞亭の人物像を知る上で重要な資料となっています。

参考文献

磯部郷土史刊行会 編『磯部郷土史』磯部郷土史刊行会、昭和38年5月10日
森鷗外『北条霞亭』(新版「鴎外歴史文学集　第10・11巻」岩波書店)

外部リンク

* 森鴎外の『北条霞亭』 - ウェイバックマシン

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