岩波書店

株式会社岩波書店について

株式会社岩波書店は、日本において文芸や学問、一般向けの啓蒙書を広く出版する著名な出版社です。その名は、特に「岩波文庫」や「岩波新書」、さらには国語辞典の名著『広辞苑』によって広く知られています。

概要

岩波書店の起源は1913年に遡り、東京・神田神保町にて岩波茂雄によって古書店として設立されました。当初の古書店としての営業は、正札販売制を採用することにより注目を集めました。初刊行物は同年の12月に出版された蘆野敬三郎の『宇宙之進化』で、続いて夏目漱石の名作『こゝろ』も刊行し出版業へ進出を果たします。漱石の死後には、その全集も刊行し、著作の普及に貢献しました。

戦前から戦後にかけて、岩波書店は講談社などの大衆向け出版との対比で、知的出版社としての地位を確立していきました。1949年には株式会社に改組し、経営の安定化を図ります。この時から社長は岩波家の世襲から脱し、多様な客層へのアプローチを強化していきました。特に戦後の代表作である『広辞苑』は、日本における辞典の中でも最大級の収録数を誇り、多くの読者に親しまれました。

沿革

岩波書店は、創業から数十年の間に多くの叢書や雑誌を発行してきました。特に興味深いのは、1933年に創刊された「岩波全書」や、1946年に始まった言論誌「世界」です。また、教育や思想に関連する雑誌も数多く刊行しています。

沿革を振り返ると、数回の社長交代があり、そのたびに理念や方向性が柔軟に変化してきたことがわかります。戦後も、教育や思想に深く関わる書籍を手がけ、新しい世代の知識人を育てる役割を果たしました。

出版物と販売戦略

岩波書店は、広範なジャンルの書籍を発行しているだけでなく、特異な販売戦略を採用しています。多くの出版社が採用する委託・返品制を避け、書店側が書籍を一括購入する責任販売制を取り入れることで、著作の価値を高めています。また、高正味での卸売を行っており、出版社にとって有利な条件を整えています。

雇用における特徴

新たな人材採用については、著作者からの「紹介」を前提とした条件での応募を求めていたため、批判を招くこともありました。これに関しては、あくまで応募条件であり、採用基準ではないと説明していますが、イメージ面での透明性が求められるでしょう。

近年の動向

2017年には所有する建物の一部を小学館に売却し、さらなる経営の安定を図る動きが見られました。また、岩波書店では、時代の変化に柔軟に対応するために、Web上での発信や新しい形態の出版物にも力を入れています。

まとめ

岩波書店は、長い歴史の中で文化・知識の発信源として日本における重要な役割を果たしてきました。文芸・学術的作品の出版を通じて、知識の普及に貢献し続けています。今後とも、さまざまな分野での発展と新しい挑戦が期待される出版社です。

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