北森嘉蔵

北森 嘉蔵（きたもり かぞう）

北森嘉蔵は、1916年2月1日に熊本県熊本市で生まれ、1998年9月29日に逝去した日本の著名な牧師で神学者です。東京神学大学の教授として多くの学生を指導し、特に「神の痛みの神学」の提唱で知られます。彼の生涯と業績は、現代の神学において重要な位置を占めています。

生涯の歩み

北森は旧制第五高等学校に在学している最中、盲目の牧師である石松量蔵から洗礼を受けました。1935年には日本ルーテル神学専門学校に進学し、ルター研究の第一人者である佐藤繁彦の指導を受ける予定でしたが、残念ながら佐藤は同年に逝去しました。その後、1938年3月に同校を卒業した北森は、ルーテル芦屋教会の後任牧師として活動を始めました。なお、乾一郎牧師は当時の伝道所直前の牧師であり、その家族関係は彼にとって重要なものでした。

1941年に京都帝国大学の文学部哲学科を卒業し、哲学の学びを深めました。この期間に、宗教と哲学の相互関係を探求する基盤を築きました。

教授としての活動

大学卒業後、北森は日本ルーテル神学専門学校で教壇に立つようになり、1943年には日本東部神学校の教授に就任。戦後の1946年には彼の著作『神の痛みの神学』を出版し、これは教会内外の多くの人々に読まれ、その教えは数多くの言語に翻訳されました。彼の神学的思索は、反響を呼び、広く知られることとなりました。

1949年には東京神学大学の教授職を務め、名誉教授となりました。戦後の日本基督教団においても、会派問題に対処し、信仰告白の制定に寄与するなどの活動を行っていました。1992年には、日本キリスト教文化協会からの表彰を受け、彼の功績が認められることとなりました。

神の痛みの神学

北森が提唱した神の痛みの神学は、聖書のエレミヤ書31:20に基づいています。この箇所では、神の心情や痛みが表現されており、北森はこの観点から神と人との関係の重要性を強調しました。特に、「膓（はらわた）かれの為に痛む」という表現に注目し、神の深い感情を示す理論を展開しました。この理論は、彼の後の思想に大きな影響を与え、他の神学者にも受け入れられました。

日本基督教団での活動

北森は日本基督教団信仰告白の起草とその解説にも携わり、教団内の理論的基盤を固めることに寄与しました。

主な著作

北森は多くの著書を残しており、以下のような作品が特に知られています。

• - 『神学と信条』（1943年）
• - 『神の痛みの神学』（1946年）
• - 『福音の性格』（1948年）
• - 『今日の神学 -近代より現代ヘ-』（1950年）
• - 『マルティン・ルター』（1951年）
• - 『聖書入門』（1954年）
• - 『日本基督教団信仰告白解説』（1955年）
• - 『愁いなき神』（1991年）
• - 『合同教会論』（1993年）

彼の著作は、日本における神学の発展に大きな影響を与え、教会の信仰形成にも貢献をしています。北森嘉蔵の業績は、彼の引退後も日本の神学界において重視され続け、その考え方は多くの信者に受け入れられています。

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