北浦嗣巳

北浦嗣巳：多才な映像クリエイター

北浦嗣巳（きたうら つぐみ）は、1952年7月8日生まれ、千葉県出身の日本の映像監督、演出家、脚本家、そしてプロデューサーとして多岐にわたる才能を発揮しています。

実相寺昭雄との出会いと初期キャリア

東京造形大学在籍中に、実相寺昭雄監督の映画『あさき夢みし』（1974年）にアルバイトとして参加したことが、彼の映像の世界への足がかりとなりました。その後、実相寺が率いる映像制作集団「コダイ」に所属し、円谷プロダクションの特撮作品『恐竜大戦争アイゼンボーグ』（1977年）で助監督を務め、キャリアをスタートさせました。

実相寺昭雄監督作品では、チーフ助監督としてその演出を間近で学びました。実相寺の独特なカメラアングルや演出スタイルに影響を受けながらも、北浦は独自の映像表現を追求していくことになります。

幅広いジャンルでの活躍

1994年のテレビドラマ『西遊記』で本編監督と特技監督を兼任したことをきっかけに、テレビドラマや映画の監督として本格的に活動を開始。舞台やオペラの演出も手がけるなど、その活動は多岐にわたります。

特に、『ウルトラマンティガ』（1996年）以降、平成ウルトラマンシリーズの常連スタッフとして、多くの作品で監督や特技監督を担当。その手腕は高く評価され、シリーズに欠かせない存在となりました。また、『怪奇大作戦 セカンドファイル』以降は、プロデューサーとしても作品を支えています。

2009年には、自身の制作プロダクション会社「アラタFG」を設立し、より自由な作品制作に取り組んでいます。

特撮への情熱と作風

特撮作品では、本編監督と特技監督の両方を担当することが多く、その両方を兼任することで、より作品に深く関わっています。初期は特技監督としての参加が多かったものの、特撮だけでは作品全体をコントロールできないと感じ、本編監督も担当するようになったと語っています。

北浦の演出の特徴として、コメディとシリアスの両方を巧みに描き分けることが挙げられます。特に『ウルトラマンダイナ』では、コメディ回とシリアス回を組み合わせることで、作品のカラーを明確に際立たせています。これは偶然の組み合わせとしていますが、作品の多様性を豊かにする要因となりました。

映画『イントレランス』の上映イベントでの経験から、人と人が優しさを持って接する物語を重視しています。また、師である実相寺の演出をただ模倣するのではなく、自身の個性を活かした作品づくりを心がけています。しかし、実相寺の追悼作品となる『怪奇大作戦 セカンドファイル』第2話では、実相寺の演出を意識した撮影を行っています。

怪獣の演出では、怪獣の気持ちを考慮し、ウルトラマンや怪獣の主観カットを効果的に用いることで、より感情移入しやすい映像を作り上げています。また、スピード感溢れる空中戦の演出にも定評があり、『ウルトラマンメビウス』では、メカニックを中心とした回を多く担当しています。

合成を得意とするイメージが強いですが、本人は必要に応じて用いていると語っています。しかし、平成ウルトラマン3部作では、コンピューターグラフィックスの黎明期において、実験的な手法を積極的に取り入れ、技術の蓄積に貢献しました。

『ウルトラマンギンガ』以降の作品では、チーフプロデューサーとして、デジタル技術の発展を踏まえ、本編と特撮を1班体制とする一方で、ミニチュア特撮による迫力も重視し、CGに頼りすぎない作品づくりを心がけています。

主な参加作品

テレビドラマ
『恐竜大戦争アイゼンボーグ』（1977年） - 特撮パート助監督
『恐竜戦隊コセイドン』（1978年） - 特撮パート助監督
『西遊記』（1994年） - 監督・特撮監督
「ウルトラシリーズ」多数

映画
『あさき夢みし』（1974年） - 製作部アルバイト
『ロリータ妻・微熱』（1984年） - 助監督
『帝都物語』（1988年） - 助監督
「ウルトラシリーズ」多数

オリジナルビデオ
『シルバー假面』（2006年） - 監督

舞台
『ウルトラマンスーパーステージ』（1998年） - 演出

その他
* AKB48『ギンガムチェック』 - MV特撮パートプロデュース・監督

北浦嗣巳は、その卓越した技術と豊かな感性で、数多くの映像作品を世に送り出してきました。彼の今後の活躍にも目が離せません。

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