北海道・本州間連系設備

北海道・本州間連系設備

北海道・本州間連系設備（通称：北本連系）は、北海道と本州をつなぐ直流電力供給システムです。この設備は、北海道電力ネットワークが管理し、1979年から運用されており、両地域間の電力運用の柔軟性を高めています。電力事情の変動に対応するため、特に重要な役割を果たしています。

概要

日本国内には、複数の電力会社が連携している高電圧送電線網が存在し、それにより電力の融通が可能になっています。特に、北海道では冬季に電力需要が高く、本州では夏季に多くなります。このため、本州と北海道間の送電設備が重要な意味を持っています。電力消費のピークが異なる地方同士が連携することで、発電所の建設を抑えることができ、コスト削減にもつながります。

極めて長い送電距離に加え、交流から直流に変換する際に生じる電力ロスを考慮し、効率的な直流送電が採用されています。連系設備の構想は昭和期に遡りますが、技術の進展に伴い、実現が具体化したのは1971年でした。

設備の建設と運用までの経緯

戦後、北海道の火力[[発電所]]で生成された電力を本州へ送る構想が生まれましたが、当時の技術と運用コストの問題から実現しませんでした。そして1960年代後半、交直変換技術が進化し、1971年に現在の構想が具体化。建設が始まり、1979年に運用が開始されました。

この設備では、北側から函館変換所、南側から上北変換所が連携しており、海底ケーブルが津軽海峡を貫通しています。構築過程では、海底の漁場を避けつつ深度1.5mに埋設する必要があり、工事の進行が遅れる要因ともなりました。さらに函館交直変換所では縄文時代の遺跡が見つかり、それも工事に影響しました。

2019年には、新たに北本連系設備が運転を開始し、送電能力が60万キロワットから90万キロワットに増強されました。

運用状況

現在、道央北幹線や道南幹線を通じ、泊[[発電所]]や知内発電所から東北電力ネットワークに電力が供給されています。道内においても、電力が不足した際や過剰な際には、この連系線を活用することで安定した供給が業務されています。

特に、海底の高圧送電線が直流という点は、送電容量を効率的に保つために重要で、1979年からの運用によって北海道の電力供給の不安が緩和される結果となりました。何度かの増強計画が実施され、特に2012年のケーブル増設により、60万キロワットの安定供給が実現しています。

設備の詳細

函館変換所（AC187kV/DC250kV）と上北変換所（AC247kV/DC250kV）は、両地域での交流から直流への変換を担っています。ここでは世界最大級のサイリスタバルブを用いており、電力品質を確保するため自動周波数制御装置も設置されています。

海底ケーブルの送電容量は250kV、1200A、43kmという長大なものであり、非常に高い技術が求められます。これまでに何度かのトラブルが発生したものの、充分な体制整備によって復旧されています。

問題点と課題

電力自由化後、託送可能な空き容量が不足しているとされ、今後さらなる設備増強が議論されています。2018年の地震では、東部地震の影響で停電が広がった事例もあり、このような突発的な状況への備えが問われています。北海道・本州間連系設備は、今後も発電リソースを支えるために重要な役割を持つことでしょう。

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