交流

交流（AC）について

交流（こうりゅう、英: alternating current, AC）とは、時間の経過とともに大きさや向きが変わる電流または電圧を指します。元々は「交番電流」の略でしたが、現在では電流・電圧の区別なく使用されるようになりました。主に正弦波が代表的な波形であり、狭義には正弦波交流を指しますが、広義には周期的に変化するすべての波形が含まれます。正弦波以外の交流波形としては、矩形波や三角波などが存在し、これらは非正弦波交流と呼ばれます。

交流の基本的な構造

交流理論においては、平等磁界中でコイルを回転させることにより起電力が生じます。フレミングの右手の法則に従い、コイルの回転に応じて起電力が正と負を交互に生成します。この起電力は、正弦波の形状を持つことが一般的です。

交流信号は、以下の3つの要素から構成されます。これらを明確化することで、任意の交流波形を発生させることが可能です。

1. 周波数（f）: 1秒間に繰り返されるパターンの数で、単位はヘルツ（Hz）です。
2. 最大振幅（E_max）: 瞬時値の中で最大となる値を指します。
3. 波形（ waveform）: 時間対瞬時値を表したときの形状です。

周期Tは周波数の逆数であり、次のように表現されます。
T = 1/f

これに加え、位相（phase）という要素も考慮します。位相とは1周期内の位置を示し、位相差（phase difference）などの概念が関連します。正弦波以外の交流の場合には、位相が定義されないこともあります。

瞬時値および実効値

瞬時値とは、時間とともに変化する起電力を表したものであり、その式は次のように表されます。
e = 2Blv sin θ
ここで、Bは磁束密度、lはコイルの長さ、vはコイルの速度、θは角度です。瞬時値が最大となるときの値は最大値、また瞬時値の平均を求めたものが実効値（effective value）です。正弦波交流電圧の実効値は、
E = (1/√2)E_max
で示されます。

実効値は一般に、交流の電圧や電流の大きさの指標として広く使われており、例えば日本の家庭用電源電圧は100V（実効値）です。

有効電力と無効電力

交流回路において、電力が関与しています。有効電力（P）は抵抗成分に関連し、次のように計算されます。
P = V I cos θ
皮相電力（S）とは、電圧と電流の積で表され、現実の電力供給がどれほどの効率で行われているかを示すものです。無効電力（Q）もあり、これはリアクタンス分に関連します。

交流の利用

交流は主に、発電所で発生する際に使用されます。発電機は一般に交流を生成し、三相交流発電機が特に大規模な発電に用いられます。その後の配電は特別高圧となり、送電しやすさが確保されます。

日本では、地域によって異なる周波数の交流が流通しており、本州中央部を境に東側は50Hz、西側は60Hzです。こうした特性から、交流はただちに多様な用途にも利用され、電力供給の基盤となっています。

まとめ

交流は相対的に時間的な変化を持ち、様々な波形で構成される電流・電圧の形式として重要な役割を果たします。特に、交流の理論や数学的な表現は、電気工学や電力工学の分野で重要な基礎知識です。

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