北海道大博覧会 (1958年)

北海道大博覧会

1958年（昭和33年）の夏、北海道の札幌市と小樽市を主な舞台として、「北海道大博覧会」（英語名称: HOKKAIDO GRAND FAIR）が盛大に開催されました。この博覧会は、1950年に始まった北海道総合開発の第一次五カ年計画の完了と、翌1957年から新たに推進される第二次五カ年計画への展望を示すことを目的としていました。北海道の発展状況を広く道内外に紹介し、その産業、貿易、そして文化の向上に貢献することを目指した一大イベントでした。

開催の背景と概要

北海道、札幌市、小樽市の共催で行われたこの博覧会は、1958年7月5日から8月31日までの約2ヶ月間にわたって開かれました。会場は札幌市内に二箇所、小樽市内に二箇所、そして札幌近郊の真駒内にも特設会場が設けられ、総面積は10万坪を超える広大なものでした。札幌会場は桑園と中島公園、小樽会場は小樽港の埠頭と祝津海岸が利用され、それぞれに特色のある展示が展開されました。

会場と展示内容

札幌会場

桑園会場は、博覧会の「テーマ会場」としての役割を担い、北海道の総合開発や基幹産業に焦点を当てた展示が中心でした。総合開発館では、北海道開発の現状と共に、50年後の札幌の姿を精巧なパノラマ模型で紹介するなど、未来へのビジョンが示されました。地下資源館では、石炭をはじめとする豊富な地下資源の分布や採掘技術、将来的な利用法を解説。農林館では、広大な農地を活用した農業や酪農の様子、林業の機械化や国土保全への貢献などを紹介しました。電力館や工業館、水産館では、電力供給の現状と将来計画、多様な工業製品、そして豊かな水産資源とその加工技術について、模型や実物、映像などを駆使して分かりやすく展示しました。また、全国各地や道内各市の物産を紹介するパビリオンも設けられ、賑わいを見せました。

中島会場は「文化会場」として、海外からの出展や民間企業による特設館、そして多様な娯楽施設が配置されました。科学館では、宇宙や気象、生物、オートメーション、原子力など、当時の最先端科学技術を紹介。月の基地や宇宙旅行のパノラマ、日本初のロボット「ホープ君」、原子力利用に関する展示など、未来への夢と科学への関心を刺激する内容が多く含まれていました。電波館ではラジオやテレビの仕組みを、健康と生活館では医学・衛生、社会保障制度について紹介。住宅館では、寒冷地での快適な暮らしを提案するモデルハウスが公開されました。また、豊平館を利用した郷土館や美術館では、北海道の歴史やアイヌ文化、道内作家の芸術作品が展示され、文化的な側面も充実していました。アメリカや東南アジア各国の文化や産業を紹介する外国館も設けられ、国際色豊かな博覧会となりました。その他、こどもの国や古代生物園といった遊戯施設もあり、家族連れで楽しめる会場でした。

小樽会場

港湾会場は、海運や貿易をテーマにした展示が中心でした。海洋海運館では、造船技術や南極観測の様子、世界の主要港などが紹介され、貿易館では北海道の輸出入の現状や対岸貿易の可能性が示されました。産業観光館では小樽の観光資源や将来の都市像を紹介するパノラマがありました。会期中には国内外の艦船が停泊し、「動く特別館」として一般公開されるなど、港町小樽ならではの特色が前面に出されていました。

祝津会場には、水族館が設置され、多様な海の生物が展示されました。博覧会終了後もこの水族館は継続して開館し、後に市立小樽水族館として活用されることになります。

真駒内特設会場

真駒内駐屯地に設けられた特設会場では、自衛隊の活動や装備品などが展示されました。大型の火砲やレーダー、特車などが展示された野外パノラマや、パラシュート降下の実演が行われるなど、普段見ることのできない催しは多くの来場者の関心を引きました。

成果と影響

北海道大博覧会は、目標を大きく上回る延べ400万人以上の来場者を集めました。札幌会場には約259万人、小樽会場には約160万人が訪れ、それぞれの目標（札幌180万、小樽100万）を大きく達成しました。経済的にも、札幌会場で約2800万円、小樽会場で約99万円の剰余金が出るなど、成功を収めました。

博覧会期間中は、皇太子殿下（後の明仁上皇）や高松宮夫妻、秩父宮妃、岸信介総理大臣といった要人が来場し、その注目度の高さを示しました。また、多様なテーマソングが制作され、博覧会ムードを盛り上げました。

この博覧会は、戦後復興期における北海道の力強い開発の歩みと、未来への希望を広く人々に伝える機会となりました。多くの人々に北海道の魅力を再認識させ、地域経済の活性化や観光振興にも大きく貢献した、北海道の歴史における重要なイベントの一つとして記憶されています。

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