北硫黄島

北硫黄島 (きたいおうとう) についての詳細

北硫黄島は、小笠原諸島に属する火山列島の一つで、火山活動によって形成された島です。東京都小笠原村に位置し、現在は無人の状態となっています。島は東京の約1,170km南にあり、父島の南南西約207kmに位置しています。島の面積は東西約2.1km、南北約3.3kmで、最も標高が高い榊ヶ峰は792mです。この山峰は島の南側に位置しており、北側には清水峰（標高665m）があります。

島の周囲は急な断崖が多く、かつては住民が生活していた名残を留めています。有人だった時代には、南側の傾斜地に沿って集落が存在していましたが、主に母島からの移住者が1944年の強制疎開により、無人島となりました。また、板根（ばんこん）と呼ばれる洗浄の平地があり、ここでは放牧が行われていました。

島は絶えず波が荒く、船での近接は難しくなっていますが、周辺には他の小島、特に「丸根」と「丸根南小島」があります。2009年には、皆既日食の観測がこの島の近海から行われ、日本放送協会（NHK）がその様子を中継しました。

かつて北硫黄島には、絶滅が危惧されていた希少なシマハヤブサが生息していましたが、既に絶滅したとされています。この原因として、外来種のクマネズミが海鳥の営巣地に影響を与えたことが挙げられています。

地形と地質

北硫黄島は、海底火山である「噴火浅根」によって形成されています。島の西側には、埋没したカルデラのような地形が確認されており、これは島がカルデラ形成以前から存在していた可能性を示しています。また、カルデラの西側には、100～160mの水深を持つ平坦なベースがあり、これは最終氷期の島棚と関連があるとされています。北硫黄島での過去の噴火の記録はありませんが、火山活動としては有史以前のものがあると考えられています。

噴火歴

噴火浅根は北硫黄島を支える火山体の中心で、そこには活動の記録があります。特に1780年以降、活動が見られ、2022年には噴火が確認されました。この噴火は、28日に発生し、噴煙は最大で約7,000mに達しました。

歴史

北硫黄島の詳細な歴史は明治時代以前に遡ります。1543年、スペインの船がこの島を発見したとされています。1891年には東京府小笠原島庁に所属しました。このころから母島からの移住が始まり、集落が形成されていきます。特に、石野村と西村の2つの集落があり、最盛期には人口約220人を数え、農業や漁業が営まれていました。

1944年には、太平洋戦争の激化により、全住民が本土へ強制疎開され、以降無人島となります。1968年には東京都に返還され、今もなお無人のままの状態が維持されています。

集落

第二次世界大戦前、北硫黄島には石野村と西村の2つの集落が存在しました。特に石野村には常時水が流れる渋川があり、村民は湧水を利用して生活していました。西村は北西に位置し、年々歴史の波に埋もれつつも、存在が記録されています。

この島の自然と歴史は、近代日本の一断面を示しており、今後も保護が進められています。2022年には島全域が「北硫黄島特別保護地区」に指定され、さらなる自然保護活動が期待されています。

もう一度検索