北磁極

北磁極の理解

北磁極は、地球の北半球において磁力線が鉛直になる地点です。別名、磁北極とも呼ばれ、地球の磁場における重要な地理的ポイントです。近年、北磁極の位置やその移動は注目されています。

概要

2001年のカナダ地質調査部の調査によれば北磁極の位置はエルズミーア島近くの北緯81.3度、西経110.8度とされています。さらに2005年には北緯82.7度、西経114.4度に位置すると見積もられています。また、北半球には北磁極が、南半球にはその対となる南磁極が存在しますが、地磁気は南北対称ではないため、両磁極は直線的には結ばれていません。これらの磁極地点では、磁力線が通常とは異なり鉛直に配置されることも特徴の一つです。

歴史

北磁極に関する早期の理解は、ヨーロッパの航海者たちによって築かれました。彼らは、コンパスの針が指すのは遥か北に存在する「磁力の山」や「磁力の島」だと信じていました。1600年、ウィリアム・ギルバートは「地球は巨大な磁石である」と初めて述べ、北磁極の定義を行いました。これは数世代を経た後に、地球磁場の理解を深める基盤となりました。

1831年、探検家のジェイムズ・クラーク・ロスが北磁極を探しに出かけ、最初の位置を特定しましたが、その後も何度も測量が行われています。最も最近では、2007年にテレビ番組「Top Gear」の企画として、改造された市販車で北磁極に到達したことも話題になりました。

北磁極の移動

北磁極は北西へと継続的に移動しています。例えば、1996年の調査では北緯78度35.7分、西経104度11.9分と記録されていますが、2005年にはその位置が北緯82.7度、西経114.4度に変わりました。この数十年で北磁極は1100km移動しており、その速度が加速しています。1970年には年間約9 kmの移動でしたが、最近の平均は年間41 kmに達しています。この動きは今後も変わると予測されていますが、地球の磁場に影響を与える要因は今も未解明な部分が多いです。

磁北と偏角

コンパスの針が指し示す方向を「磁北」といいますが、これは特定の位置に基づくものではなく、時と場所によって変わります。磁北と真北の間の角度の差を「偏角」と呼び、これは地図において重要な情報です。オリエンテーリングなどでは、コンパスと地図の相互作用が成功の鍵となるため、この偏角を理解することは特に大切です。

地磁気北極

地球の磁場は、ある理論的な位置に対して約10.2度傾いている磁気双極子で近似されています。地磁気北極や南極は対蹠地に位置していますが、現実には不完全な双極子磁場なので、磁極と地磁気極は異なります。地磁気北極はおおよそグリーンランドの北西に位置し、オーロラが見られる地域でもあります。

北磁極の動きや地磁気に関する理解は、地学や航海技術の発展において欠かせない要素です。それゆえ、北磁極の変化を追い続ける研究が必要とされています。

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