北神急行電鉄

北神急行電鉄株式会社

北神急行電鉄株式会社は、かつて兵庫県神戸市で北神線を運営していた鉄道会社です。一般には「北神急行」や「北急」と略されるこの会社は、神戸電鉄SHビル内に本店を構え、谷上駅西側の車両基地に本社事務所を設置していました。北神急行電鉄は阪急電鉄や神戸電鉄といった企業の出資によって設立された純民間企業であり、第三セクターではありません。また、阪急阪神ホールディングスの連結子会社であり、神戸電鉄の持分法適用会社でした。このため、阪急阪神東宝グループと神戸電鉄グループに属していました。

会社設立の背景

神戸電鉄の開発部や神戸市による北神地区の大規模住宅地開発により、既存の神戸電鉄有馬線の輸送量が昭和50年代にはすでに限界を迎えていました。これを受けて、新たに北神地区と都心を結ぶ北神線の建設が計画されました。しかし、建設コストが高く、神戸電鉄単独での建設では既存の路線への影響が懸念されたため、別会社の設立が決定されました。1979年10月29日、神戸電鉄や阪急電鉄、神戸財界の共同出資により北神急行電鉄が設立されました。

事業運営と発展

設立の後、神戸電鉄および官民デベロッパーによる沿線開発が進行し、昭和60年代には神戸電鉄の輸送能力が限界に達する見込みが立ちました。そのため、建設工事が急速に進行し、1988年4月2日に北神線（谷上 - 新神戸間）が開業しました。当初は神戸電鉄の社長が兼務しており、社員のほとんどは神戸電鉄からの出向者やOBでした。

開業時の計画では710億円の建設費を約25年間で返済する見込みで、開業後8年以内に作年度で黒字を目指していました。しかし、債務が増えていく中、2002年には北神線のインフラを神戸高速鉄道に譲渡し、運行業務のみを行う第二種鉄道事業者としての道を歩むことになりました。2020年5月末まで、谷上駅など一部の施設を保有していました。

北神線の市営化

2018年12月27日、神戸市が北神急行電鉄の事業を譲受し、北神線を市営化することが発表されました。これにより、神戸市営地下鉄西神・山手線との相互直通運転し、運賃を下げる計画も進められました。2019年3月29日には、神戸市と阪急が北神急行線にかかる資産の譲渡や運行の一体的な実施について基本的な合意を結びました。

最終的に2020年6月1日、北神急行電鉄が運営していた北神線は神戸市へと譲渡され、市営地下鉄北神線として運行が開始されました。北神急行電鉄としての役割は終わりを迎え、2020年8月31日の株主総会で解散が特別決議され、2021年3月3日には法人格が消滅しました。

経営状態と遺産

2002年度以降の北神急行電鉄は、運賃引き下げ策により乗客数がわずかに増加傾向にありました。これに伴い、地域密着のサービスにも力を入れていました。マスコットキャラクターたちも地域活性化に寄与しており、人気を博しました。

今後も、北神急行の事業が神戸市交通局によって引き継がれることで、地域の発展に寄与し続けることが期待されています。

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