北辰斜に

北辰斜にについて

「北辰斜に」（ほくしんななめに）は、日本の旧制第七高等学校（通称七高）の寮歌であり、その正式名称は第十四回記念祭歌です。この歌は、大正4年（1915年）に作詞され、作詞者は簗田勝三郎、作曲者は須川政太郎です。

歴史的背景

簗田勝三郎は1894年に生まれ、1812年に七高第二部甲類（工科志望）に入学しました。しかし、彼は病苦により1916年に退学し、療養中に24歳で亡くなりました。彼の墓所には、1991年に七高同窓会によって歌碑が建立されています。一方、作曲者の須川政太郎は当時鹿児島師範学校の音楽教諭として活動し、その後も複数の学校で音楽を教えました。

歌の特徴

「北辰斜に」の歌詞や曲調は、見事な組み合わせを見せており、特に前半部は付点8分音符と16分音符を多用する「ピョンコ節」が特徴です。曲は、1920年に出版された楽譜では長調となっていますが、現在の奏法では短調で歌われています。歌詞は、鹿児島の地理を背景に、理想や目標に向かって飛び立つ恵まれた学生生活を表現しています。

歌の内容と意味

歌詞の1番の冒頭、"北辰斜にさすところ"は、鹿児島の位置を北極星を仰ぐ地ではなく、斜めに見る低地として表現しています。これにより、地元の風土や自然を讃えながら、学生たちが理想を追い求める姿勢を描写しています。

歌詞の構成は次の通りで、1番では鹿児島の美しい風景が描写され、2番では静かな薩摩潟と活気ある桜島を称えています。3番では濁世からの隔絶を謳い、4番と5番では雄飛の理想を高らかに歌い上げます。このように、「北辰斜に」は、学生たちが持つ理想を描いた力強い楽曲となっています。

継承と復興

旧制第七高等学校は1889年に設立され、学制改革により新制鹿児島大学に統合されました。「北辰斜に」は鹿児島大学でも継承されましたが、しばらくの間、あまり歌われなくなっていました。しかし、近年では学内の行事などで頻繁に歌われるようになり、校歌としての復活を遂げていることは喜ばしい現象です。

应援歌としての受容

「北辰斜に」は、旧制時代から多くの学校で替え歌として親しまれてきました。その雄壮さから、応援歌として使用されることもありました。たとえば、旧制愛媛県宇和島中学校の漕艇部応援歌や旧制福岡県立筑紫中学校の応援歌など、さまざまな形で影響を及ぼした楽曲です。このような多様な使用は、歌自体の普遍性と影響力を証明しています。

結論

「北辰斜に」は、歴史的な価値と文化的な重要性を併せ持つ素晴らしい楽曲であり、その歌詞とメロディは世代を超えて愛され続けています。これからも学生たちにとって、希望と誇りを与える歌として歌い継がれていくことが期待されています。

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