北辰電機製作所

株式会社北辰電機製作所の歴史

創業の背景

株式会社北辰電機製作所は1918年に、東京市麻布区にて創業されました。創業者の清水荘平は、大学助手時代に直面した国外製計測機器の修理の煩わしさを解決するため、計測機器の国産化を目指し、自らの手でメーカーを立ち上げたのです。社名は「北極星」からインスパイアを受け、業界の道標となることを期待して名付けられました。この企業精神は、後の先進技術の開発と市場投入に繋がりました。

軍需成長期

1934年に本社を蒲田区下丸子に移転し、自らの製品として温度計や流量計を開発し、自国の技術力を高めることに成功しました。その後、日本の軍事体制が確立される中、北辰電機は航空機や艦船向けの計器製造に力を注ぎ、同社製品は敵国にまで知られる存在となりました。第二次世界大戦下での急成長は、終戦時に従業員数を2万にまで増加させることとなります。

戦後の危機と再建

第二次世界大戦の終結後、北辰は厳しい状況に直面します。空襲による工場の大半が壊滅し、軍需も消滅したため、存続の危機に瀕しました。そのため、従業員を一旦解雇し、再び少数の従業員で出発を図ることになりました。GHQの許可を得て民生向けの製品を再開しましたが、戦争の影響で業績は低迷しました。再建には一連の法的手続きと企業体制の見直しが必要で、北辰は新会社として再出発することとなりました。

コンピューター産業への進出

北辰は戦後早々にコンピュータ分野に進出し、初の国産プラント制御用コンピュータを開発しました。この技術革新は、古い計器メーカーから新しいプロセス制御システムのメーカーへの転換を促しました。また、防衛分野への再参入に際しては、「Hokushin」ブランドを名乗らず、新たに子会社を設立して期待を寄せられました。

経営統合とその後

1983年、北辰電機製作所は横河電機製作所と統合し、新たに横河北辰電機株式会社を設立します。この統合は、双方にとって重要な意味を持ちましたが、旧北辰の社長が社名変更に導かれた際には、従業員の間に多くの疑問や反発が生まれました。結果として、北辰の企業文化や技術が横河に吸収され、業界での影響力は大いに拡大しました。

現在の状況

合併後、北辰の名は徐々に消え去り、横河電機という新たなブランドを確立しました。かつての北辰の技術者たちは、新会社に於いて重要な役割を果たし、海外事業の展開に寄与しました。今日、旧北辰の面影を見つけることは難しくなりましたが、その技術力と人材は横河電機の成長に大いに貢献しています。

労働関係の闘争

北辰電機製作所は、戦後も労働組合活動が活発でしたが、共産党系組合員による経営妨害が業績に影響を及ぼしました。そのため、明確な労使関係の問題が浮上し、裁判に発展する事件も存在しました。合併後、労働組合も統合されるものの、多くの課題が残されました。

こうして株式会社北辰電機製作所は、日本の工業計器とプロセス制御システムにおける重要な存在であり続け、その後の横河電機の姿に大きく影響を与えたことになります。

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